米上院、税制改革法案を可決—薄氷の勝利

上院は12月2日未明、51対49で税制改革法案を可決しました。

長きにわたる協議で反対票を投じたのは、引退を表明済みのコーカー議員(テネシー州)のみ。歳入が予想を下回った場合に自動的に増税を盛り込むトリガー条項が含まれなかったためです。パススルー事業体への減税案をねじ込んだジョンソン議員(ウィスコンシン州)とデインズ議員(モンタナ州)や、州税・地方税に関し固定資産税の税控除が認められコリンズ議員(メイン州)などが支持にまわったお陰で、約30年ぶりの大幅改正にまた一歩近づきました。

今後のスケジュールはこちらをご覧頂くとして今回、上院で可決した主な具体案は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

法人税率引き下げの時期や所得税減税の期限切れ時期など、上下院では税制改革の柱が異なります。上院に”バード・ルール”が存在するためで、財政調整法(過半数で可決できる仕組み)を適用した場合、10年間の予算対象期間を超えて赤字を拡大させることを禁じているのですよ。必然的に上院は減税額を抑えなければならず、下院案と違いが生じたというわけです。

8日に期限切れを迎える暫定予算を片付けてから、両院協議会で一本化を目指すことになるのでしょう。残り僅かな会期で、果たして上下院で一本化した税制改革法案を可決できるのか。アラバマ州上院議員補欠選挙というリスク要因を控えるだけに、上下院指導部は取り纏めに奔走するのでしょう。

(カバー写真:Senator Mitch McConnell/Facebook)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年12月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。