誰もが利用できる民泊を提供する

民泊は申し込めば誰でも利用できるから、この記事のタイトルに疑問を持つ読者がいるかもしれない。しかし、本当に誰でも利用できるだろうか。

部屋への導線や室内に階段があったら車いすの利用者は困るだろう。視覚で情報が得られない人は他人の部屋でトイレをどのように探したらよいのだろう。障害者に配慮したホテルは多いが、一般家庭への宿泊が前提の民泊には配慮に欠ける場合がある。

障害者にも利用できる民泊を提供する会社が、車いす利用者によって、2015年に設立された。それがAccomableである。このAccomableを民泊大手のAirbnbが買収することになり11月に報道発表があった。数か月の間にAirbnbの民泊リスト60か国以上にAccomableからの情報が掲載されることになり、Accomableは閉鎖されるそうだ。

その後もAirbnbは民泊のアクセシビリティ確保に動いている。同じ11月にカリフォルニア州の視覚障害者団体と連携したとの報道発表があった。この連携の下でAirbnbは障害者を差別しないことを基本方針として明示し、必要に応じて民泊提供者に警告を発することになった。一方で、障害を持つ利用者が希望に沿った民泊を簡単に検索できるようにするという。これらの人々は盲導犬などの補助犬を同伴する場合があるが、補助犬を受け入れることを原則とするそうだ。Airbnb社員に対する教育も強化するという。

Airbnbに対して公正取引委員会が検査を実施するなど市場支配力への懸念がある。一方で市場支配力ゆえによい方向に動き、民泊でのアクセシビリティ配慮が当たり前となる可能性がある。