郵便事業を支援金で維持しようという近視眼

2017年12月12日 06:30

日本経済新聞が『郵便局網維持、支援制度導入へ調整 政府・自民党』と報じた。全国の郵便局網を存続させるため、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が日本郵便に支払っている手数料の一部を局網維持の費用として利用するという。同じことを伝えた朝日新聞には「郵便物の減少傾向に歯止めがかからない中、過疎地を含め全国の郵便局を残すねらい」と書かれていた。

郵便物はどのように減少しているのだろうか。各年の情報通信白書を見ると2006年には224億通だったが、2016年には177億通まで減少していることがわかる。2006年の年賀状当初発行枚数は40億枚で2016年は30億枚だから、それを除くと、2016年の184億通が147億通まで減少したことになる。

日本郵便は統計情報をほとんど公開していないが、「郵便利用構造調査」から2014年には事業所→私人54.3%、事業所→事業所19.1%で、企業など事業所からの郵便物が約3/4を占めている。

私人→私人の郵便物は4~50億通に過ぎないし、その中には年賀状も含まれている。一人あたりでは月に1~2通の私人からの郵便物と20~30通の年賀状ということになる。私人→私人で郵便を利用する機会は限られている。

このように明るい将来が見通せない郵便事業を維持する必要があるだろうか。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険からの支援金で維持しようという試みも10年程度で破たんする恐れがある。

ところで、電報では夜間受付が元日から廃止されることになった。電報はもともと緊急連絡向けのサービスだったが、今では慶弔用が9割を超えている。1通当たりの収入が多い慶弔用だけを残そうというのが夜間受付廃止の動機である。

郵便も単価の高い速達や書留などだけを残すということにしてもよいだろう。どのように郵便事業から撤退するか根本的な議論が必要である。

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