都議会議員ファースト?約12万円のボーナスアップ×126名…

音喜多 駿

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

いよいよ15日で今年最後の都議会定例会(第四回定例会)も幕を閉じますが、この季節は例年、人事委員会勧告によって職員の給与改定が行われるシーズンです。

平成29年職員の給与に関する報告と勧告
http://www.saiyou.metro.tokyo.jp/saisin_kankoku.html

昨年に引き続き、例月給の引き上げは見送られたものの、特別給(賞与)は0.1ヶ月分アップするという勧告によって、本定例会には給与アップ条例が提出されています。

ほんの0.1%と侮るなかれ。巨大組織である都庁が職員賞与を一斉に0.1%アップすると、なんとその財政支出は約74億円にもなります。

公務員制度改革・身を切る改革は私自身の重点公約の一つでもあり、

・人事委員会勧告が基準としている「民間水準」は、一定規模以上の企業のみを参考にしており不適切なこと
・薄く広く給与をアップしても投資効果は薄く、他に有効な政策投資の方法があること

などの理由により、職員の給与・賞与がアップする条例案には当選以来一貫して反対を続けています。

参考過去記事:
●東京都職員の給与、2年連続で引き上げ方向…。消費税増税を控えて、世間に「納得感」はあるか?

そしてこちらも例年とりあげていることですが、この給与・賞与アップの大きな問題点として、自動的に都議会議員の議員報酬・期末手当と連動してしまうんですよね…。

参考過去記事:
●公務員の給与・手当が上がったので、また今年も都議会議員のボーナスが7万4千円アップ…!

つまり、今月支給された私たち都議会議員の期末手当にはさらに追加支給が行われることになり、その計算式は以下の通り。

817,600円(基本給)×1.45×0.1=118,552円

なんと約12万円!いやあ、4月から報酬が2割カットされているところに加えて、来月は新年会の嵐だからなー。これは助かるよウンウン、では賞与アップ議案には大賛成してさっそく懐に

いっかーん(# ゚Д゚)

全然ダメです!こんな理不尽な報酬アップ!

126人の都議会議員たちの報酬が12万ずつアップすれば、合計で約1,500万円。これは決して小さな金額ではなく、基礎自治体レベルなら一つの事業に政策投資できる財政規模です。

消費増税を初めとして、これから様々な面で国民・都民負担が増していく中で、職員の待遇と連動しているからなどという理由で、都議会議員の賞与が上がることに有権者が納得するでしょうか?

とりわけ都政はいま、豊洲市場移転問題や東京五輪などの課題が山積しており、混迷を招いている点については都議会にも責任の一端があります。

そうした事情があるからこそ、都議会は「議会改革」を打ち出し、二割の報酬カットや政務活動費の削減を実施している最中なはずです。

にもかかわらず、選挙が終わったら抜け抜けと「制度通りだから」という理由で都議会議員のボーナスをアップさせるのは、明らかに議会改革の方向性と矛盾するのではないでしょうか。

この報酬アップを防ぐ方法は簡単です。

都議会議員の待遇を職員のそれと切り離し、期末手当をアップさせない条例案を自分たちで作れば良いのです。

議会のことは、議会で決めることができるのですから。

そこで今年も議案提出権を持つ共産党さんを中心に、かがやけTokyoを含む有志会派が昨年に引き続き、期末手当を据え置く(職員と連動せず、現状に固定する)条例案を共同提出しました。

昨年は自民・公明・民進という主要会派の反対により否決されましたが、今年は事情が異なります。

最大会派であり、「新しい議会」「議会改革」を掲げた都民ファーストの会が賛成に回れば、それで過半数。議員報酬のアップを防ぎ、据え置くことができるのです。

ところが!昨日の財政委員会にて、都民ファーストの会は据え置き条例案に「反対」を表明しました(自公も例年通り反対)。

「制度は制度なのだから、人事委員会勧告に従い連動を踏襲すべき(要旨)」

という理屈が現在の議会改革と矛盾するのは勿論のこと、そうした古い慣習・制度を打ち破ることこそが「改革」なのではないでしょうか

上田令子都議もすでにブログで指摘しているように、人事委員会勧告に従わず独自基準を採用している先例はありますし、先に述べた通り少なくとも、議員自身の待遇については議員が決めることが可能です。

共産党が主導となる議員条例案の提出に抵抗があるのであれば、第一会派である都民ファーストが音頭を取って条例提出を行えば、今の議会構成であれば確実に議案成立=報酬アップは防げたにもかかわらず、これは本当に残念です…。

委員会で採決された議決が本会議でひっくり返るということは、通常ではまず起こりえません。

しかしながら、報酬アップに対して疑問を覚えている心ある改革派都議たちも、個人レベルでは各会派の中に存在するはずです。

市場移転問題など課題が山積する現在の都政において、都議会議員たちの報酬を約12万ずつアップさせることが、合計1500万円もの財政支出を発生させることが、果たして正しいのか。

こうした内容を本日、報酬据え置き条例案を提出した4会派で共同記者会見し、説明をさせていただきました。

最終議決の瞬間まで、議会内と世論に訴えかけていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2017年12月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。