Japan-US Innovation Summit 2017

「Japan-US Innovation Summmit 2017」にパネラーとして参加しました。登壇したのは「保守派・自由主義運動の連携のアイデア」といパートです。他のパネラーは参議院議員山田宏、ジャーナリストの福場ひとみ、アゴラ編集長新田哲史らです。このイベントは、パシフィック・アライアンス総研株式会社(代表取締役所長:渡瀬裕哉)と全米税制改革協議会(代表者:グローバー・ノーキスト)が、日米間で初めて、日米の政治関係者・有識者らによる自由主義・保守主義の連帯に関するフォーラムです。

事前の打ち合わせで、 米国内での共和党の位置づけと共和党支持者について詳しく説明を受けたと同時に理解していなかった側面があることに気づかされたのです。共和党支持者は小さな政府を志向し、地方分権によって中央政府で定めれられた補助金をも削減し、少額だとしても減税を求める、ここが本質なんだと。政府からの独立志向が高く「余計なことはするな」ということのようです。

日本で俗に保守派と言われる層は、地方に多く住んでいて、自民党の支持者でもあります。地方分権は望むけれど、それは補助金を削減してでも減税して欲しいという思いからきているものではありません。地方分権によって、財源・権限を地方に移し、自由に使える予算を確保し、インフラ基盤を更に充実させることを望むのです。33年間自民党にいましたが、有権者から本気で減税して欲しいと言われたことはありません。横浜市会議員になって初めての陳情が、公園整備の予算を市に戻して欲しい、つまり今の公園で充分だから、無駄なお金を使わないで欲しいというものでしたが、減税して欲しいということではありませんでした。

大きな政府・小さな政府、保守派・革新派、日米では言葉の持つ意味合いが随分と異なります。そして、日本国内での意味ですら、テクノロジーの進化で大きく変わろうとしているのです。これまで大きな政府というのは、社会保障を始めとする住民サービスを厚くし政府が国民のサポートを出来る限り行う、その為には税負担を求め、国・地方政府の職員数が多くともしかたないという意味合いでした。しかし、内閣府大臣補佐官として進めてきたマイナンバー制度、当時つくったマイナンバーロードマップが完成されれば、意味合いの異なる小さな政府が出来ることになります。

制度として社会保障は、国民の安心の為に充実するけれども、国・地方政府職員の役割を見直し、人が本質的に対応しなくてはいけない分野に人員を割き、不必要な定数枠を削減する、という社会を構築することが出来るようになります。マイナンバー制度が日本のデジタルプラットフォームになれば、補助の制度は施策として存在しても、コンピュータシステムにより、申請しなくても家族単位で計算が行われ、口座に自動的に振り込むことが出来ます。

1つの補助金のために、施策をつくる人、運用する人、申請を説明する人、申請を受け付ける人、申請をデータ化する人、口座にお金を振り込む人、不正や手続きが間違ってがないかチェックする人等、国・地方政府にたくさんの職員を必要とします。単純に考えれば、人件費が下がれば社会保障の金額を増やす等の施策に予算が使えるようになるのです。給付付き税額控除やベーシックインカムという施策はマイナンバー制度が確立されることにより初めて成り立つのです。

1つの家族に国・地方政府が提供しているお金、税制優遇を書類提出を前提とした申請主義を排し、システムで計算して口座に振り込む、プッシュ型サービスの提供が正にベーシックインカムの前提になるのです。誰も自分の家族に対して、年間どれだけのお金が使われているか知らないのです。例えば、0歳児を保育園に預けると自己負担の月謝が例え1万円でも、保育園のトータルコストは月70万円、つまり69万円を政府が負担しているのです。それは国民負担ということでもあります。

時代は少子高齢化、人口減少社会です。団塊の世代が社会保障の金額を引き上げることは間違いないので、マイナンバー制度によって社会システムを効率化し、逆ピラミッドが解消されるまで対応するしかありません。その先には、財政健全化のシナリオがすっきりと見えてくるはずです。

僕の考える新たな国家像は、組織的には小さな政府でも、安心できる社会保障サービスをプッシュ型で提供し、世界で一番行政効率と経済の生産性が高い社会です。そのためにはデジタル社会に振り切ることが大切なのです。デジタル社会に振り切ることによって、初めてアナログの重要性も見えてくるのです。


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2017年12月15日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。