東京の「食」はコストパフォーマンスが良すぎる

内藤 忍

海外ではなく東京に住み続けている理由の1つは「食」にあります。世界のバラエティーに富んだ食が一定以上の水準で楽しめ、しかもサービスも良く、コストパフォーマンスが圧倒的に高いのが魅力です。

例えば、最近赤坂に出来たビルの3階にあるカジュアルなバーでは、グラスワインがたっぷりと注がれ、価格はたったの700円でした。レストランに併設されたオープンバーですが、ゆったりとしたソファーと、豪華な雰囲気が味わえ、都心のお店とは思えない値付けです。

東京には、客単価が5万円を超えるような高級和食店でもありますが、一方で牛丼の吉野家のように、400円足らずで安定したクオリティーのおいしい食事が食べられるお店もたくさんあります。同じ1回の食事でも価格差は100倍以上。このバリエーションの広さは他のエリアにはありません。そして全体的に価格は低めです。

飲食店を経営する側から考えると、このような東京の外食事情はかなり異常に見えます。3年前から経営しているSHINOBY`S BAR 銀座の看板商品であるプリフィックスコースは下記のようなメニュ構成ですが、価格はわずか4800円。手前味噌ですが美味しいです(笑)。

<プリフィックスメニュ>(2名様から注文可能)
【ウェルカムドリンク】
グラススパークリング(ソフトドリンク、ミニビールに変更も可)
【スープ】
オニオングラタンスープ
【前菜3点盛り】(写真)
スモークサーモンと茄子のミルフィーユ
イチジクとシェーブルチーズのタルト
フォアグラとバナナのフラン
【リゾット】
トリュフリゾット
【メイン】いずれかを選択
ブラックアンガス牛ミスジグリル 八丁味噌マデラ酒ソース
オーストラリア産短角牛のフライドステーキ

銀座シックスの目と鼻の先にある東京のど真ん中で、これだけの料理をこの価格で提供しなければ競争に勝てない。このような日本の飲食店の価格の低さは、過当競争が原因だと思っています。飲食店に対する参入障壁の低さが、次々と飲食店の増加を招き、需給関係から価格が上がりにくい構造になっているのです。価格競争に巻き込まれると大手には勝てませんから、価格を抑えながらも差別化された商品とサービスを提供していくしかありません。

利用者の立場では東京の「食」はコストパフォーマンス最高!と賞賛できますが、経営者の立場としてはもう少し提供する価値に対してそれに応じた価格がしっかりとれるようなマーケット環境になってほしいと複雑な心境です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年12月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。