バロンズ:2018年に市場を動かすドライバーは、税制改革と利上げか

2017年12月18日 06:00

バロンズ誌、今週は州債・地方債をカバーに掲げる。税制改革は、キャピタルゲインが非課税だった州債・地方債市場を直撃する見通しだ。例えば、借換債の一部(advance-refunding bonds)は課税対象に切り替わる。イリノイ州やニュージャージー州をはじめ、年金不足に直面する州政府の財政を圧迫しかねない。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は税制改革と利上げをテーマに取り上げる。抄訳は、以下の通り。

減税と利上げーCutting Taxes and Raising Rates.

米国人の間で税制改革の見解は真っ二つに分かれるが、海外での見方は一致している。特に中国は、法人税率の35%から20%への引き下げを懸念する。金利上昇と減税は、米国への投資を招くだろう。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は、米国の減税が中国への”重荷”になると伝えた。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、中国人民銀行が資金流出を阻止するため、金利引き上げや資本規制、為替介入などあらゆる手段を用意していると報じている。

両院協議会が週末にかけ、上院の間で50票を確保できる税制改革法案をまとめ上げたが(筆者注:法人税を2018年から21%へ引き下げ、所得税の最高税率を39.6%から37%へ引き下げなどを含む)、米経済にアドレナリン注射の効果を与えるかはまだ分からない。一つ確実なのは、世界の中央銀行による金融政策が緩和的でなくなるということだ。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通り、追加利上げを行い1.25〜1.5%に設定した。中国人民銀行は直後に公開市場操作(定例オペ)向けのリバースレポ金利、並びに中期貸出ファシリティー(MLF)の金利引き上げで反応。翌日物と28日物のリバースレポ金利をそれぞれ5bp引き上げ、7日物を2.50%、28日物を2.80%、1年物MLF金利も5bp引き上げ、3.25%とした。

Fedは2018年に25bpの利上げを3回行う見通しを描くが、FF先物市場は2回の利上げしか織り込んでいない。しかしドイツ銀行の主席国際エコノミストのトーステン・スロック氏いわく、来年重要な決定を下す中銀は欧州中央銀行(ECB)かもしれない。

ECBは、資産買入額をこれまでの半分にあたる300億ユーロへ縮小させるが、スロック氏のによれば、ECBの資産買入縮小が円滑に進めば、信用の伸びが鈍化する見通しだ。ポートフォリオ・マネージャーによる株式や社債などリスク資産への投資が減退しかねない。しかし今のところ欧州の社債は発行が増加し、ローン担保証券の発行は3,000億ドルと、2006〜07年の当時の2倍に相当する(with issuance of collateralized loan obligations soaring past $300 billion)。

米国でも、株式市場が過去最高値を更新し続けるように利上げが影響を与えているようには見えない。中国が恐れる税制改革実現への楽観的な見通しが広がったためだ。税制改革実現と利上げをにらみ、米2年債利回りはS&P500の配当利回りを約10年ぶりに上回った。その影響は、2018年に知ることになるだろう。

米2年債利回りが上昇中、逆イールドのリスクを示唆。
yields
(作成:St. Louis FedよりMy Big Apple NY)


2018年のFedによる利上げが果たして3回で済むのか、注目です。何度も申し上げますが、2018年の投票メンバーにタカ派の地区連銀総裁が集まるだけに、仮に税制改革実現で成長率が足元の勢いを維持すれば、賃上げ圧力を先取りして年4回の利上げを行わないとも限りません。FRB正副議長が金融規制緩和を支持する立場にあり、成長を支える可能性も捨て切れない。綺麗なバラには棘があるように、バラ色シナリオにもリスクが潜んでいそうです。

(カバー写真:Silveira Neto/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年12月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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