【開催報告】「電波改革で訪れるビジネスチャンス」

山田 肇

情報通信政策フォーラム(ICPF)とアゴラ研究所の共同開催で、2017年12月19日、緊急シンポジウム「電波改革で訪れるビジネスチャンス〜誤解だらけの改革の中身を徹底討論」が都内で開催された。

冒頭、規制改革推進会議で電波改革も担当するワーキンググループ座長を務めた原英史氏から、先に政府に答申したポイントをレクチャー。その後、会場からの質疑も交えながら、司会の山田、パネリストの池田信夫氏、真野浩氏が原氏と意見交換した。

シンポジウムでお披露目された原氏の資料はこちら池田氏の資料はこちらです。

以下はICPF事務局による要約である。

すべてがインターネットに接続され(Internet of Everything:IoE)、産業・医療・交通・環境・教育・防災など多様な都市機能がネットを介して統合され効率よく提供されるスマートシティが実現されようとしている。IoEやスマートシティ時代の電波利用は今までとは全く異なるものになる。新時代を展望しての電波行政の改革方針が答申として打ち出された。

今までは周波数や変調方式といった物理的な規定とその上での利用形態を統合して電波免許を付与してきた。使用頻度が低い免許人・周波数帯が存在するのはそのためである。答申が強調する電波発射状況調査によって使用頻度が低い免許人・周波数帯が明らかになれば、返納させたり他の用途と共用させたりする「電波の区画整理」が実施できる。

これからは物理的な規定と利用形態を分離すべきである。無線ネットワークはIP網として構築し、その上でいろいろに利用するのがよい。無線IP網自体は利用形態(サービス・コンテンツ)が異なっても変える必要はない。今まではある免許人が撤退し、次の免許人がサービスを開始するまでに長い空白期間があったが、無線IP網の形式にすれば空白期間はなくなる。同じ無線IP網のうえで多くのサービス提供者が競争するという形態での市場競争も実現できる。

無線IP網のうえを流れるサービス・コンテンツが利益の源泉である。無線IP網自体は多様なサービスを支えるインフラであり、水道事業が最低限の利益で営まれているように無線IP網から多くの利益は期待できない。したがって、無線IP網のための電波をオークションにかけても高額で落札されることはない。オークションの実施は電波改革の中心的な課題ではない。無線IP網を水道網のように公営で構築することすら考えられる。区画整理をして空き周波数を作り、共用を基本とした新しい利用形態を実現することが電波改革の焦点である。

テレビ放送の価値は多額をかけて制作されるコンテンツである。電波を飛ばして視聴者に届ける伝送が価値ではない。コンテンツの伝送路として無線(デジタルテレビ放送)があり、ケーブルテレビがあり、ネット同時送信が今後提供される。電波改革は、テレビ局にとっては価値の高いコンテンツを配信するルートが増えるチャンスである。ただし、著作権法が(無線)放送、有線放送、ネット送信を相互に異なって規定している点など、電波以外にも改革を求められる法制度が存在する。

多様な利用形態の無線網の共用は公共用電波でも進めるべきである。答申では公共安全LTEの構築が提言されているが、その方向を向いた施策であり、電波の有効利用を加速する。

シンポジウムの模様は、上記のYouTube「アゴラチャンネル」をご覧ください。