音喜多氏の反発は当然?保守新興政党の言説に見る日本流ガバナンス --- 天野 貴昭

2018年01月02日 06:00

ガバナンスという単語は解釈に相当な振り幅がある様で、もはや元の意味が何処にあるのかがわからなくなっている気がしてなりません

そこで今回は私が解釈している限りの「ガバナンスの意味」ついてまとめさせていただきました、幾らかでも皆様の考察の参考になれば幸甚です。

日本のガバナンスとは「頑張るガバナンス」

政治の世界で「ガバナンス」を積極的に用いられるようになったのは、維新さんや都民ファーストさんといった保守系新興政党が現与党を批判する際であったと記憶しています。

では彼らが言う所のガバナンスとは何なのか? これを注意深く伺ってみると「トップ(決定者)からの発信を部下へ正確に伝達する能力」或いは「部下が入手した情報をトップに伝達する能力」、言い換えれば「意思決定の位置づけの徹底」と「伝聞環境の整備」の2点を指していたと解釈しています。

この2点は確かに組織運営にとって重要な要素かもしれませんが、私が理解する限りガバナンスとはこういった局面的な概念ではないです。

もし僕が維新さん・ファーストさんに『皆さんが望む組織環境を達成する為に今何をすべきだと思いますか? 』と質問させて頂いたとしたとします。これまで見てきた限りだと「厳格な規律作りとその徹底」「目標達成に向けての努力継続」このいずれかの回答を頂けると推測します、これこそが私の捉える(彼らの)ガバナンスであります。

ただこれだと要は「厳しく戒めて頑張ります」と仰っているだけですから組織がブラック化して丸山先生や音喜多さんのような反発因子が発生するのも無理ないとも思います。

※なお組織がこのような状態に陥ったのは彼らにも責任がある訳ですからお二方を擁護する気は全くないです。

スポーツ界のガバナンス:「競争」の工藤、「可能性」のバレンタイン

僕が把握するガバナンスの中で特に尊敬しているのは現ソフトバンク監督の工藤氏と元千葉ロッテマリーンズ監督のバレンタイン氏の描いたガバナンスです。

工藤監督(Wikipediaより)

工藤監督が徹底しているガバナンスは「チーム内競争環境の提供」。

ソフトバンクでは一軍にA投手がいたらファームにパートナーとなるB選手を設け、A投手が不甲斐ない結果を出すか同日B選手が好投すると即入れ替えます。これにより一軍投手はファームにいる「もう一人の自分」と常に比較される事になります。

実はホークスと同様のガバナンスを組むサッカーチームがスペインにもあります。

メッシを擁するスペインの強豪バルセロナではユースチームが必ずトップチームと同じフォーメーションを組みます。もしユースチームのポテンシャルを考えると4-4-2フォーメーションが妥当でもトップチームが3-4-3ならばユースも3-4-3で戦うという事です。

これによりトップチームで故障・不調選手が発生した際に同戦術で慣れ親しんだ選手をすぐユースから補充できる上、ユース選手らにトップ昇格のモチベーションを強く意識させる事ができます。

バレンタイン氏(Wikipedia)

これらに対し、バレンタイン元監督が敷いたガバナンスは「可能性の拡充」です。

例えばバレンタイン氏はファーム選手に異なった2つのポジション適性を要求しました。その為今日ショートを守っているC選手の昨日のポジションがキャッチャーだった、という事がまま見られました。

両監督の挑戦とも非常に挑戦的で興味深いのですがアプローチが全く異なります。一見バレンタイン氏の方が優しい指揮官に映ると思いますが、氏のガバナンスはファーム選手を劣った選手と位置付けたガバナンスだとも言えそうです。対して工藤監督やバルセロナのガバナンスは大変厳しく映ると思いますが、選手らを監督始め首脳陣と対等に見たガバナンスとも捉えられます。

(維新さん・ファーストさんに限らず)私に言わせれば日本社会のガバナンスとは「頑張るガバナンス」であります。それは美しいとは思うものの頑張るだけでは組織がブラック化するのはやむを得ない事だとも思えてなりません。

皆さんはどうお考えになりますか?

天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表

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