年頭所感:改革が遅くなるほど、痛みを大きくする

鈴木 馨祐

平成30年の新春を迎えるにあたり、年頭の所感をここに書かせていただきたいと思います。

今年は明治維新から150年の節目の年です。そして当時に勝るとも劣らない危機に我が国は直面しているといわざるを得ません。

外交安全保障の観点から東アジア情勢は極めて緊迫しています。北朝鮮、中国という軍事大国、独裁国家を二つも近隣に抱える我が国としては綱渡りの外交を強いられる状況に変わりはありません。

アメリカの東アジア・西太平洋への関与をしっかりと維持すること、TPPやパリ協定を契機にアメリカの不透明感により高まっているアジア諸国の不安を払拭することは、地域の安定、ひいては我が国の安全保障に直結します。アメリカ、台湾、ベトナム、オーストラリア、インド、イギリス等の国々との連携強化が死活的に重要です。

その観点から、日本が一帯一路構想やRCEPなどで誤った判断をすれば、日本すら中国に近づこうとしていると誤ったメッセージを送ることになってしまいます。それは、国際的なルールに基づく開かれたアジア・太平洋・インド洋という構想自体を頓挫させ、アジアの安定・発展や我が国の国益を大きく損なうことにもつながりかねません。誤解を与えかねない安易な対中協調、対北朝鮮対話などは断固として排していかねばなりません。

経済政策においても、国際競争の激化と少子化高齢化に直面する中で、今我が国は大きな岐路に立たされています。安定と緩やかな衰退という選択をとるのか、よりオープンで変化の激しい成長に舵を切るのか。

デフレといわれる状況は、様々な経済学的な分析はさておき、その根底には将来への期待、経済活動におけるリスクテイクの停滞があります。この状況を打破するためには、一人ひとりのマインドに働きかける、より自由でオープンな競争、チャンスが何回でもあるダイナミックな社会、真に頑張ったものが報われる社会への構造改革が必要です。

ベンチャーの起業・スタートアップ、企業の新陳代謝、一度失敗すると岩盤規制にはじかれ再チャレンジが出来ない終身雇用の転換、バラマキによる持続可能でない需要創出主体の景気対策の転換、民間主導の経済成長の徹底、こうした視点からの経済・金融・税財政に関する政策の方向性、さらには霞ヶ関・永田町のあり方そのもの自体の大転換を図る必要があります。

規制や税制、サービスにおいて、政府があちこちに口を出すような、政府が「指導」するような「大きな政府」「優しすぎる政府」は決して民間活力を生み出すことはない、このことを我々は過去数十年の失敗から学んできたはずです。過ちを繰り返すべきではない。安倍政権の経済政策ももう一度2013年頃の原点に回帰する必要があります。

社会保障についても、負担と給付の観点から国民皆保険を維持し国民の将来不安を減らすためには、目先のごまかしではなく、超高額のものも含めほぼすべてを税金や保険料で賄っている今の共産主義的な医療制度を抜本的に改革する必要があります。特に今後、子育てや教育という次世代への投資を強化し社会保障を全世代型に転換する以上は、従来の社会保障の効率化と抜本改革は避けて通るわけにはいかず、改革は遅くなればなるほど無意味に痛みを大きくするだけになりかねません。

持続可能性ということでいえば、エネルギーについても、石炭発電のように現実的ではないエネルギー源に依存して日本経済全体を長期リスクにさらすような愚は終わりにせねばなりません。スチュワードシップやESG等の資本市場・投資家の資本の影響力で、経済成長・気候変動リスクをはじめとする社会・経済のリスクの最適化を行う流れを加速する枠組みの構築が急務です。

これまでも、微力ながら私なりに、党において、政調での会議、役員会にあたる総務会等々、様々な場でこうした点の議論をしてまいりましたが、基本的に多勢に無勢というところもあって、この国に必要なスピードで政策の転換、改革の実行を実現できていません。特に野党の大半が完全に左傾化、共産主義化してしまっている以上、現実問題、我々がこの国に必要な改革を進めるより他、選択はありません。

今年一年、引き続き全力で頑張ってまいることをここにお誓いして、平成30年の年頭にあたっての所感とさせていただきます。

※なお、公職選挙法第147条の2の規定により、政治家(およびその候補者となろうとするもの)が年賀状を含むあいさつ状を出すことは禁止されております。ご理解いただけますようお願い申し上げます。


編集部より:この記事は、自由民主党青年局長、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2018年1月2日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。