好敵手?最大のアンチ?同年代の論客・古谷経衡さん

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

年始のまだ比較的慌ただしくない時期に、この方について書いておきたいと思い立ったのです。

古谷経衡さんである。

1982年生まれの35歳。何かとバランス感覚やスター性を欠きがちな保守論壇において貴重な(?)ルックスと舌鋒鋭い弁舌で、テレビでも絶賛売り出し中の保守論客・文筆家であります。

世が世なら、間違いなく「傾奇者(かぶきもの)」と呼ばれている御仁であろう。Twitterのアカウント名も「aniotahosyu(アニオタ保守)」だし。

古谷氏とは確か「TVタックル」で最初に共演し、昨日のキングオブディベートや選挙特番などでもご一緒させていただいた。

その中で彼は私に対して辛辣な批判を繰り返しており、過日もこのような刺激的なコラムを寄稿されていた。

私が音喜多駿氏を「三枚舌」と断じる理由 -彼はメディア露出を図りたいだけだ

「音喜多は結局、テレビに出たいから離党しただけだ!」
「有権者に対する裏切りを行った音喜多は、議員辞職に値する!」

などとバッサリ断定する過激な内容で、これを読んだ私の支援者などは「ひどいやつですよね、古谷ってのは!」なんてプリプリ怒ってくださったりするのだが、私自身は不思議なことに不快感をまったく感じていない。

なんというか、芸人の世界で言うところの「愛のあるいじり」のような気がしているのだ。

※なお、本当に本人が愛を持ってやっているのかはまったくもって知らない

確かに古谷氏の批判は辛辣なものではあるが、一理あって頷けるものは多い。

私自身が「都民ファーストの会」で公認されて都議選を闘い、その内訳はわからないものの、一定数が

「都民ファーストの会だから」
「小池知事を支持しているから」

という理由で私に投票してくれていることは揺るがぬ事実だろう。

選挙後まもない離党が望ましいはずもなく、「都民ファーストの会のおときた駿」としての期待を裏切ってしまったことについては誠に申し訳なく、その点については何度も謝罪をさせていただいている通りだ。

一方で、私にも言い分はある。

選挙とはあくまで有権者と政策内容を契るものであり、自らの所属する組織がその契約実現から乖離し、その改革も不可能だとなった場合、政治家はそこから離れる選択をすることは許されるのではないか。

何がなんでも「公認をもらった政党に忠誠を尽くす」というのも1つの筋ではあるものの、それが絶対的に正しいとも限らない。特に比例代表ではなく、選挙区で一義的には「自分の名前で」勝ち抜いた政治家であればなおさらだ。

その判断が正しかったのかどうかは究極のところ、次の選挙で有権者によって審判を下してもらう他はない…。

このような議論はすでに古谷氏と、数度に渡ってテレビ番組等で行わせてもらっている。これは実は本当に「有り難いこと」なのだ。

尺や内容、出演者に一定の役割が与えられているメディア露出において、いつもいつも自分の言いたいことがすべて言えるわけではない。

私が都政についてコメントすれば、「あいつは自分のことも反省せずに何様だ!」という批判が文字通り殺到することになる。とはいえ、枕詞として毎回、説明や反省の弁から入ることもできない。

だがそこで、真っ向からその指摘をしてくれる論客がいれば、必然的に話題として取り上げられることになる。

そして議論を通じて私自身あらためて、自分自身が犯した政治判断の過ちと向き合い、今後の政治活動に真摯に取り組む想いを喚起されることになる。

事実、昨日の「キングオブディベート」においても古谷氏は

「二枚舌の音喜多都議はいる?いらない?」

というストレートな議題を遡上にあげてきたが、これも厳しく問い詰めるというよりむしろ、私自身に改めて弁明する機会を与えてくれたように感じた。

気の所為かもしれないが。

もちろん、だからといって馴れ合うつもりは一切ないし、議論は常に真剣勝負だ。

古谷氏の詰問に対して私が自信をもって抗弁できない日がくれば、その時に私は本当に議員バッヂを失うことになるかもしれない。

彼の指摘は必ず存在する一定層の有権者の意見を代弁しているものであり、その批判は常に真摯に耳を傾けなければならないものだ。

また一方で、「選挙は契約なのだから、その任期中は離党も鞍替えも絶対ダメ!」等の古谷氏の主張は私の考え方とは異なるし、こちらも違うものは違うと主張し、これからも激しい議論が交わされていくことになるだろう。

というわけで本年のささやかな目標の1つは、古谷氏との温泉行きを実現して酒を酌み交わし、そして次回の討論番組では完全決着をつけることです。今回も同着だったので…!

今後とも古谷氏には、

「おまえは有権者を一度裏切ったのだから、その分しっかり働け!」

という手厳しくも愛のある(ないかもしれない)メッセージを出し続けていただき、ご指導ご鞭撻をいただければ幸いに思う次第であります。

皆さまもそんな同世代同士の白熱の議論に、今年も引き続きご注目くださいませ。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年1月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。