「野球化」する日本 --- 天野 貴昭

2018年01月05日 06:00

前回・前々回と大変多くのご意見を頂き、誠にありがとうございます。

エビデンスは「万能」なのか?

音喜多氏の反発は当然?保守新興政党の言説に見る日本流ガバナンス

今回は私が日々提案させて頂いているガバナンスの概要と、併せて(僭越な事だとは思いましたが)皆様から伺えたご批判のひとつにあった「私個人が考える新興保守政党が進むべき道」についてまとめさせて頂きました。

団体スポーツガバナンスの有用性

私が解説するチームガバナンスは主に団体スポーツ競技で用いられるガバナンスをまとめたものが中心です。

それは私がスポーツに明るいからでもありますが、それ以上に(新田編集長も以前似た点をまとめていらっしゃいましたが)政治とは謂わば血の流れない戦争であり、軍を持たぬ我国に於いて団体スポーツでのガバナンス研究は極めて重要だと捉えているからなのです。

元阪神のMマーティンや格闘家で元NFL選手のボブサップさんの様にかなりの知性派が選手内に混雑しているのが今の世界スポーツのスタンダードです。チーム全員が必ずしも知性派なくても良いですが、論理思考が出来るメンバーが一定数いないと世界では通用しません。彼らが扱う高いレベルのガバナンスを社会に反映させる事は極めて有益であると確信しております。

皆さんの中には、テレビで「お笑い芸人が憲法や安全保障について論じている姿」に不快感・不安感を持つ方が少なからずいらっしゃると思いますが

私は「欧米諸国なら小・中学生のサッカーチームでも習得出来るチームガバナンスすら理解していなさそうな政治家を選出してしまう現代風潮」の方が余程恐ろしく感じるのです。

野球化する日本

さて、私は常々日本社会は右傾化や左傾化よりも、深刻な野球化(公務員化)を起こしていると懸念しています。

具体的に申し上げると

野球を始め多くの米国発祥スポーツは欧州のそれと比べ管理者(リーダー・監督)の意思決定路が一本線になる様に設計されています。この様なガバナンスは1930年頃同国で提唱され、主に公務員や軍隊組織内で重用される様になりました。

公務員試験経験者の方は提唱者のギューリックの名や専門用語であるスパンオブコントロールという単語をご存知の方がいらっしゃると思います。

この野球的(古典米国競技的)なガバナンスは定まった作業をミスなく実行する事に長けていますが、戦況の変化への柔軟性を著しく欠くのが弱点です。その為、現代のアメリカンスポーツでは既にこのガバナンスをそのまま使用する事はありません。

非人道的だとか、そういった道徳的な事由からではないです。単純にこれだけでは負けるからです。

有名な対応策としては「グリーンライト」と呼ばれる追加戦略があります、これは選手が走塁を(場合によっては打撃も)自己判断で出来る権限を指します。

また、前回記事でも触れたソフトバンク工藤監督もご著書『現役力』(PHP新書)にて下記の様な事を述べられています。

極端な話、一流の選手が集まればチームプレーはいらない

ベンチからの大所高所の情報を受信する為にサインは重要ではあるが…(例えば引っ張り専門の左打者の打順なら)内野手は1〜2塁間を締め、ライトはやや前進、バッテリーは内角を引っ掛ける様な配球を敷く…といった「現場での最善」を選手個々が考え、実行する体制こそが重要。

これが出来たから西武ライオンズは(工藤氏在籍中に)八度の日本一に輝く事が出来た。

※『現役力』27〜29頁(概要引用)

そしてこのお話から当時ライオンズの監督で「管理野球」の通り名を持つ広岡氏が決して選手を操り人形にしていた訳ではないという事も推察できます。

今の日本がこのまま野球化(古典米国競技的なガバナンス)へ進む事は我々に不利益をもたらし兼ねないと警戒しています。

維新復活の鍵は「グリーンライト」の拡充

この古典的ガバナンスを徹底しようとして失敗したのが前回申し上げた新興保守政党の2党だと思っています。

このうち都民ファーストさんは現在(良くも悪くも)かなり難解な技術を駆使して改革に挑んでいらっしゃる模様なので、今回は維新さんの改革案について私見を申し上げます。

結論から先に言うと維新さんは議員ではなく、一国一城の主たる区長・市長といった首長を奪取する事に専念すべきだと思います(それも出来れば若手で)

従って先日の堺市長選の結果は、本当に残念でした。

首長候補としては前回も触れた丸山先生の様な方が適任だと思います。彼の様な人材は「団体行動不可避」な国会議員に据えるより、党一丸となって選挙区何れかの首長選挙でお勝ち抜き頂き、首長として改めてご意見をお聞かせ頂いて、そして松井氏を脅かす存在になって頂けてこそ、良い意味で組織を活性化なさるでしょう。

またこれが達成される前に松井氏は代表を辞任すべきではないとも思います。

これがどのくらい大変な事なのかは解っているつもりではいます。ただかの党はこのくらいの大鉈振るわないとならない状況な様な気がしてなりません。

皆さんは如何お考えになられますか?

天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表

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