米国出張② PS-LTE(公共安全LTE)で日本をアップデート

小林 史明

米国出張2日目のメインはNTIAのレドル長官との意見交換。

議題はアメリカで導入を進めているPSーLTE(公共安全LTE)システムについて。昨年末から日本でもPSーLTEの実現に向けた検討を『電波有効利用成長戦略懇談会』でスタートしており、参考にするためです。

※画像はリンク先より引用 https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/2017/170613_01.html

PS-LTEとは

公衆モバイル回線として、日本をはじめとする多くの国で高速なデータ通信が可能なLTEが普及している。スマートフォンの普及が世界で同時多発的に広がり、トラフィックが急増。

データ通信の高速性や周波数利用効率の高さなどから、一気にLTEの導入が広まった。一方で、LTEなど最新のネットワーク技術を提供する高速性などのメリットを享受できていないネットワークがある。その1つが、パブリックセーフティ(Public Safety:PS)ネットワークだ。パブリックセーフティは「公共安全」と訳される。警察や消防、救急などに加え、例えば米国ならば州兵などが利用するネットワークのことを示す。

パブリックセーフティネットワークを構成する規格としては、いまだにアナログ方式が主流。デジタル方式の導入も進んでいるが、それでもモバイルブロードバンドの世代で言うと「2G(第2世代)」携帯電話に相当する技術で、用途としては音声通話がメインになる。

データ通信も使えるが通信速度は今となっては遅く、限定的な使い方になる。こうしたパブリックセーフティ分野にLTE方式を利用することで、高速データ通信を可能にしようという動きが活発になっている。

「PS-LTE」や「LTE Public Safety」と称される、パブリックセーフティ向けのLTEだ。

■下記記事引用

警察や消防などの公共安全ネットワークにLTEを活用する「PS-LTE」とは
LTEなど最新のネットワーク技術を提供する高速性などのメリットを享受できていないネットワークがある。その1つが、パブリックセーフティ(Public Safety:PS)ネットワークだ。

米国では9.11の際に消防や警察など複数の組織で、運用している無線システムが異なることから情報共有がうまくいかなかったことを機に検討がスタートし、約15年越しで具体的にシステムの構築が始まりました。

昨年末の発表では、通信キャリアであるAT&TがPS-LTEシステム(FirstNet)の構築と25年間の管理を受託し、ネットワークの管理・運用にAT&Tが400億ドルを投資するとしています。なお、PS-LTEシステム用に、FCC(日本でいう総務省)は20MHzの周波数を割当て、初期のネットワーク構築に政府が65億ドル投資することになっています。

日本でも警察・消防など各省の組織ごとに通信設備を整備し、個別に運用しています。これを全てPSーLTEに集約することができれば、全体として整備・運用コストを下げることができるだけでなく、各現場と本部で画像データなどのやりとりが可能になり、より効率的な活動が可能になります。

同時に、これまで公共用に使っていた周波数帯が集約され空くことで、民間に解放しさらに新たな需要を生み出すこともできます。

このプロジェクトについては、各省の理解も得なければ実現できないため難易度は高いのですが、各国の取組を参考にしつつ、今年の夏までには結論を出して行きたいと思います。


編集部より:この記事は、総務政務官、衆議院議員の小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年1月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。