雪降る冬のスイカに、熱いまなざしが向けられている理由

黒坂 岳央

Newsモーニングサテライトより

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

1月12日放送のテレビ東京・モーニングサテライトにて、季節逆転フルーツについてお話をさせて頂きました。お客さまや各メディアは季節逆転フルーツへの関心が非常に高く、私も色んなメディアで季節逆転フルーツの魅力について紹介をしています。今回はQA方式で季節逆転フルーツについて、取り上げたいと思います。

季節逆転フルーツにはどんなものがあるのか?

本来の旬とは異なる季節に収穫をする、季節逆転フルーツ。完全に旬の時期と逆転しているのは冬スイカ、冬マンゴーがあり、その他逆転とまではいかないものの、本来の旬ではないフルーツはハウスみかん、初夏の巨峰、冬いちごなどがあります。

季節逆転フルーツ栽培の難しい点とは?

果物は自然に任せて育てると、当然本来の旬に実をつけることになります。しかし、旬ではない季節に栽培するとなると人工的に栽培に適した環境づくりや、季節逆転フルーツの品種を使わなければいけません。

冬スイカについていえば、外が真っ白な雪降る真冬にハウス内に暖房を焚くことでTシャツ一枚に汗をかくくらいの夏さながらの環境を作り出す栽培方法があります。今回、テレビ取材に同行して見せてもらった農家さんは、ハウスを4重に貼って「燃料を使わず、太陽熱を逃がさない温度上昇」を狙う栽培方法でした。また、この農家さんでは、夏のスイカと大きさも味も異なる冬スイカ品種を栽培していました。本来の旬ではない季節に栽培すると、栽培環境づくりやフルーツのケアも旬の時期に比べてコストや手間が増えてしまいます。これが季節逆転フルーツを栽培する上で難しい点です。

なぜ季節逆転フルーツを販売するのか?

肥後庵で冬スイカのような季節逆転フルーツを販売するのは「季節逆転フルーツを求める熱狂的なファン」にお応えするためです。

例えば昨年9月から秋スイカを購入されたお客さまがいるのですが、12月終わりまでに10回以上自宅用にスイカを買って頂きました。法人ではなく個人のお客さまですから、かなりのスイカ好きです。旬の時期であれば、普通に近所のスーパーにいけばスイカを買うことができます。しかし、秋や冬になると流通量が減ってしまいますから、スーパーの店頭から姿を消してしまうわけです。スイカの熱狂的なファンはここで諦めてしまうことはなく、ポケットからスマホを取り出して当店のように冬にスイカを販売しているところを見つけて、そして買っているわけです。

季節逆転フルーツを求めるお客さまがいる限り、今後も季節逆転フルーツを取り扱っていきたいと考えています。

季節逆転フルーツはどんな人が買っているのか?

当店の売上データを分析してみると、秋や冬のスイカは夏には見られない面白い売れ方をしていることが分かってきました。

秋スイカは結婚のお祝い関連需要でよく売れています。結婚内祝いや宅配引出物ギフトなどもそうですし、ウェディング会場のウェルカムボードにカービングしたスイカを置くための注文や、ケーキ入刀の代わりに新郎新婦でスイカ割りをするために注文も入ります。これは春や夏には見られない秋によくある売れ方と見ています。株式会社リクルートマーケティングパートナーズの意識調査によると、結婚挙式が多い月は例年、春と秋(4月・5月・10月・11月)とあります。秋の挙式でスイカを使いたくても近所のスーパーに置いていないために、肥後庵のように季節逆転フルーツを取り扱っている店舗から買われているようです。

冬スイカは法人顧客のサプライズ狙いのお歳暮ギフトで使われています。受け取る側は箱を開けたら大きなスイカが入っているので「なぜ冬のお歳暮にスイカ!?!?」ととても驚かれるとともに、「健康的で甘くておいしいスイカを食べられるのが嬉しい」というお声を頂いています。

季節逆転フルーツの今後はどうなる?

私は今後、どんどん季節逆転フルーツは登場してくると考えています。

種無しでとってもおいしいブラックジャックというスイカがあります。昨年は日テレのおしゃれイズムさんでも取り上げて頂いた、近年彗星のように現れたこのブラックジャックスイカはあいにく7月を前に出荷が終わってしまうものでした。また、ここ数年間で爆発的な人気を誇る種無し皮ごと食べられるシャインマスカットは、秋で姿を消してしまうのでお歳暮ギフトに使われることはありませんでした。

※昨年、おしゃれイズムさんにて紹介頂いたブラックジャックスイカ

こうしたフルーツについて、生産者と話をすると「今後は収穫時期が長くなるよう、品種改良と栽培技術向上に努力をしたい」と力強いお言葉を頂きました。このようにブラックジャックスイカはお中元に、シャインマスカットはお歳暮に使えるよう、努力をして伸ばそうという生産者の動きがあるのです。

しかし、生産者はフルーツ栽培については知識と経験をお持ちなのですが、どうしても消費者ニーズが見えづらく、またせっかく栽培しても販路を持っていません。私たち肥後庵は生産者の栽培する季節逆転フルーツを消費者に届ける橋渡し役となることで、今後は続々とまだ見ぬ季節逆転フルーツが登場してくるものと見ています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表