アサイン、イシュー?その言葉の意味、わかっていますか

尾藤 克之

専門用語とともに、気になるのがカタカナ語の乱発です。現代のメディアはカタカナ語があふれていますが、知っているようで実はよく知らない、聞いたことはあるけれど意味がわからないという言葉がたくさんあります。

カタカナ語は多用しない

たとえば、アーカイブ、アセスメント、イノベーション、ダイバーシティ、ガジェット、アサイン、エビデンス、イシュー、プライオリティ、コンプライアンスなど……。これらの意味を聞かれて、的確に答えられる人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

時代をあらわすカタカナ語は雰囲気を出すこともできますが、文章に雰囲気は不要です。まずは、使おうとするカタカナ語に対して読者にどの程度〝共感認識〟があるかを
考えて用いるべきです。

基本的に専門用語は専門の場所で使うべき、言葉はTPOによって使いわけるのが原則です。先ほどあげたカタカナ語をわかりやすく言い換えてみましたので、参考にしてください。

<カタカナ専門用語の言い換え例>
アーカイブ → 保存施設、保存記録
アセスメント → 事前評価
イノベーション → 事業革新、技術革新
ダイバーシティ → 多様な人材活用
ガジェット → 小物、道具、仕掛け
アサイン → 指令、任命
エビデンス → 根拠、証拠
イシュー → 課題
プライオリティ → 優先順位
コンプライアンス → 法令遵守

バランスも書き手のセンスの見せどころです。漢字にすべきか?ひらがなにするか?迷うときも多いと思います。最近はあまり漢字を多用せず、ひらがな表記をすることが多くなりましたが、大事なのはバランスです。

文章をざっと見たときに、漢字が多すぎると堅さを感じて、読む気力が削がれてしまいますし、視覚的に威圧感を与えることもあります。一方、ひらがなは読みやすいのですが、多すぎると逆に読みにくくなります。次の文章を比較してみてください。

<漢字が多い>
子供は比較、即ち〝優劣〟で人を判断します。足が速い遅いといったことから、勉強が出来る出来ない、背が高い低い、歌が上手い下手、更に貧富といった比較を通じて、自分より劣っていると思う者に対して、優越感を持ちます。

<漢字の一部をひらがなに修正>
子どもは比較、すなわち〝優劣〟で人を判断します。足が速い遅いといったことから、勉強ができるできない、背が高い低い、歌がうまいヘタ、さらに貧富といった比較を通じて、自分より劣っていると思う者に対して、優越感をもちます。

一部をひらがなにし、漢字とひらがなのバランスを考慮すると、圧倒的に読みやすくなります。また、ひらがなを活用することで、文章を和らげることもできます。

文章を書きあげたら、全体をよく見直し、途中でつまるところがないか、読みやすいバランスを考えるようにしてください。迷ったときは、見た目を重視!バランス感覚を働かせて変換するようにしましょう。

刺さる文章ってなに?

さらに、誰に向けた文章なのか、どういう行動をうながしたいのか、さまざまなイメージを思い浮かべるのは、文章を書く上で大きな意味を持ちます。文章を書き始めてからも、言葉や表現に迷うこともあるでしょう。そんなときはいったん立ち止まり、ターゲットを今一度明確にイメージすることが重要です。

文章を読んでほしいと思っている相手、または自社の商品を買ってもらいたいと思っているターゲットの顔、体形、生活スタイルなどを細かく具体的にイメージして書くことで、「この言い方は刺さるな」「これはピンとこないかも」と、判断できるようになるはず。こうした作業をすることで、相手にきちんと伝わるようになるはずです。

参考書籍
あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト