ゴールドラッシュで本当に儲けた人は ⁉︎

1848年、アメリカ西海岸でゴールドラッシュが始まりました。

全米中から金を求めてたくさんの人々が集まりました。大量の金を掘り当てて一財産築いた人もいたとは思います。
しかし、当時の西海岸では突然多くの人々が押し寄せたため、生活用品が需要過多となって物価が高騰したそうです。多くの採掘者たちは、物価高に悩まされて採掘をあきらめたと言われています。

そんな中、一番儲けたのは、採掘者たちに機材や衣服を売った人たちでした。
ゴールドラッシュの採掘者たちに、丈夫で使い勝手のいいキャンパス地のパンツを売ったのが、かのリーバイスの始まりだと言われています。

今でこそ、ブルーオーシャンとかレッドオーシャンという言葉が頻繁に用いられ、過熱している市場への参加は危険と言われています。
しかし、当時はそのような考えはなく、「自分こそが金鉱を掘り当てて大金持ちになる!」と自負する人々が多かったのでしょう。

この話をずいぶん昔に知った私は、多くの人々が我先に突進していく分野と、突進していく人々をサポートする分野とを分けて考えるようになりました。

司法試験受験が過熱した80年代。
法曹になるにもいい時代でしたが、敢えて司法試験予備校の講師に残る道を選んだ人たちもいました。

当時の司法試験予備校は大変な勢いで規模を拡大しており、某予備校の看板講師が「小規模な塾形式でやっていこうと思ったのに、こんなに受講生が増えて熱意が冷めてしまった」と、贅沢なことを言っていました。

ハードとしてのパソコンが普及すると同時に、パソコン利用をより快適にするためのソフト業界が巨大化しました。
ハードに強かったIBMとOSを作ったマイクロソフトのその後の違いは、まさにゴールドラッシュを彷彿させます。

アジアの中間層人口が急増すると、リーゾナブルな価格と高品質で、しかもサイズをたくさんそろえたユニクロの衣料品がブレイクしました。デフレで収入が減少した日本人にもとっても大きな恩恵でした。ネット通販が流行すると、店と顧客との橋渡しをするプラットフォームである楽天などが巨大化しました。

現在も新規ビジネスで大ブレイクを図ろうと、虎視眈々と機会を窺っている人たちがたくさんいます。新規ビジネスを考えるのは素晴らしいことです。
しかし、それをサポートすることも「金の採掘者に衣類を売る仕事」のように重要なビジネスです。

新しいビジネスを立ち上げた人たちのインタビュー記事を読むと、「おいおいこれって労基法違反だよ」「これって刑法に触れそうだ」「独禁法を知った上で言っているのだろうか?」などとツッコミを入れたくなる発言がけっこう目立ちます。医学が専門分化していったように、昨今では弁護士も専門分化しています。

しかし、創業から間もない企業や急拡大している企業にとって必要なのは「なんでも医」ならぬ「なんでも弁護士」だと私は思っています。
ビジネス関連の法律知識だけでは、経営者や従業員が犯罪に触れた時に簡単に対処できません。ましてや、経営者の離婚問題や親子関係の問題の相談に乗ることはできないでしょう。

昨今の若き弁護士諸氏は、高収入が約束された大手事務所に就職したがるようです。しかし、多種多様な案件を経験して「なんでも弁護士」になることは、これからの起業家をサポートする上で重要な役割を果たすのではないでしょうか?

「人の行く裏に道あり花の山」とも言います。
大手に就職できなくても、それがもとで大きな幸運を手に入れることもあると思います。

与えられた場所でいじいじと努力を続ければ、きっと結果は付いてくると信じています。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年1月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。