都の予算規模は約13兆円→14兆円へ。容積率調査など光る面も

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日、平成30年度予算案が正式に発表されました。

東京都、五輪関連費3200億円計上 30年度予算案 小池知事「東京大会の成功とその先の未来に」(産経新聞)

すでに様々な角度から報道はなされておりますが(といっても、去年に比べると報道量は雲泥の差…)、まず大枠の大枠から見ていきますと、

「東京都の予算規模は約13兆円」

と久しく言われてきましたが、なんと今回は前年度から13兆542億円→14兆4,440億円と、約1兆4,000億円もの増加が生じています。

と言っても、都民生活に直結する何か大きな地殻変動が起きたわけではなく、これは「国民健康保険事業」が法律改正によりまるっと都道府県の事業として移管されたためです。その規模は約1.1兆円で、増加分の大半を占めています。

都税収入は+1,421億円と堅調に推移をしているものの、悪しき地方消費税の税制見直しにより、本来であれば都に入るはずの約1,040億円が奪われた状態です。

「国民健康保険事業」は特別会計に参入されるため、もっとも都民に直結する一般会計の歳出総額は7兆960億円となっています。

さて、これからこの予算案の精査に入りまして、順次こちらのブログでも取り上げていきつつ、今日は「職員による事業提案制度」の一部をご紹介したいと思います。

公募→ネット投票というプロセスを経て「都民に因る事業提案制度」が行われたことは、以前のブログでも触れていたところですが、これとは別に職員からの提案募集も行われておりました。

今回は164件の事業提案があり、15件が予算に反映されています。そのうちの1つで私が着目しているのが

「保育所確保のための建ぺい率・容積率調査」(一千万円)

です。調査費用なので規模は小さいですが、うまくいけば保育所がかなり増える可能性を秘めています。

都心部では「土地の確保」が極めて難しいことが、保育所増設の障壁の1つとなっています。

これに対する解決策として、「容積率の緩和」を以前から私も主張してきました。

高さ制限を緩和する代わりに、その条件として建物・敷地の中に保育所などの福祉施設を併設することで、土地のない都心部でも保育所を増やしていくという政策です。

もしも私が、都知事選挙に立候補するなら…。公約は「東京をタテに伸ばす」容積率緩和による成長戦略だ
http://otokitashun.com/blog/daily/11937/

今回、職員から提案されている内容は、これから新規で建てられる建物の建ぺい率・容積率ではなく、既存の建物・施設の中で建ぺい率・容積率を余らせているものがないかを調べるものです。

もし敷地内に建物を増設する余地があれば、「そこ、保育所用地として貸し出してくれませんか?」という交渉ができるようになるわけですね。

調査方法としては、東京都がこれまで管理してきた都市開発計画のデータがあるので、主にそれを元に調査を進めていくとのこと。

もちろん、容積率を余らせている建物・施設がほとんどなかったり、あったとしても所有者が保育所建設に難色を示すなど「空振り」に終わる可能性もありますが、調査をする価値は十分にあると思います。

まさに都市部ならではの問題解決策であり、こうした提案が職員からなされたことに期待を感じるものです。

なお、保育所設置等を条件に新設の建物・施設の容積率を緩和する政策も一部で実施されていますが、設置施設の業態転換が許されないなどの厳しい条件から利用実績がほとんどない状態です。

この条件については昨年春に条件緩和が試みられ、利用実績を増やしている最中とのこと。

こちらについても引き続き、利用されやすい規制緩和が行われるよう、政策面から働きかけていきたいと思います。

その他の予算案の中身についてもまた、順次ご紹介を続けていく所存です。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年1月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。