たかが線香と侮るなかれ。茂木さん、それはないですよ

政府インターネットテレビより:編集部

法の解釈や運用については、くれぐれも慎重かつ周到にしてもらいたいのだが、茂木さんの事務所の方々は如何にも軽率である。

たかが線香と侮る勿れ。

選挙区支部の職員が政治活動の一環として有権者に線香を配り歩いていた、配った線香には茂木氏の名前は記載されていない、ということだが、選挙区支部の職員はすなわち茂木氏の秘書の方々だろう。

茂木氏の秘書は、選挙の際には茂木氏を当選させるための選挙運動に従事しているはずだから、茂木氏の秘書が有権者のところに線香を持参すれば線香を受け取った有権者の方は、その線香が茂木氏の方から来ているということは重々承知しているはずである。

線香を配ることが選挙区支部の政治活動だ、などと言うのは一般には納得し難い説明である。
線香の配布時期や配布件数、配布の際の当該秘書の言動などを総合勘案して結論を出さなければならない問題だが、線香に何らかの記載があるか否かに関わらず、茂木氏の秘書が有権者に配布した線香はその配布の態様から茂木氏を類推させる、と見做されても止むを得ないものだ。

総務省は、茂木氏を類推させる文字の記載はなかった、と見ているようだが、捜査当局がそのように判断するかどうかは分からない。

金権選挙は止めさせなければならない、不公正な選挙運動は罰則をもってでも禁止しなければならない、という公職選挙法の趣旨から考えれば、選挙区支部という名前を表示さえすれば公職選挙法の規制を免れることが出来る、などと甘く考えるべきではない。

選挙区支部の表示をしたうえで有権者に線香の配布をすることを発案したのは誰か、ということがいずれ問題になるだろうが、その発案者が茂木氏だということになるとこの問題は大きくなる。

選挙には強い茂木さんも、結構脇が甘かったようである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年1月31日の記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。