過大な再エネ補助が電力インフラを食いつぶす

2018年02月02日 11:30

民主党政権が「地球にやさしいエネルギー」として導入し、急成長した再生可能エネルギーが、曲がり角に来ている。新規参入の激増で設備過剰になり、それを接続する送電線が足りなくなったのだ。

ところが朝日新聞によると「基幹送電線は利用率2割」だという。もしこれが事実なら、電力会社は送電線を過大に占有して再エネを妨害し、送電線を8割も浪費していることになるが、それは本当だろうか。

電力の「使用率」は100%近い綱渡り

常識的に考えて、高価な送電線が2割しか使われないということはありえない。朝日新聞は「大手電力がいう『空き容量ゼロ』は、運転停止中の原発や老朽火力も含め、既存の発電設備のフル稼働を前提としており、実際に発電して流れた量ははるかに少ない」というが、これは誤りだ。

この記事が根拠にしている安田陽氏(京大特任教授)の計算では、電力10社の「1年間に送電線に流せる電気の最大量に対し、実際に流れた量」の比率を送電線の「利用率」と定義しているが、こんな数字は普通は使わない。

東京電力のピーク時の使用率はぎりぎりで、最大発電量の100%近くになる。これは危険な綱渡り状態で、先週の寒波では、他社から電力を調達してしのいだ。電力の使用率がぎりぎりなのに、朝日新聞のいう「利用率」が2割しかない原因は、基幹送電線が二重化されているという事実を朝日が知らない(あるいは無視した)ためだと思われる。

基幹送電線には並行して予備の回線があるが、普段は使わない。事故でメインの送電線が使えなくなったときは予備回線を使うが、それは送電容量には含まれない。発電所がフル稼働しても、送電線の「利用率」は50%なのだ。これはもったいないように見えるが、基幹送電線に事故が起こると大規模停電になるので、国際的に決まっているルールだ。

安田氏はこの予備回線を分母に入れて「電力10社の利用率は平均19.4%」と発表したが、彼は株式会社・日本風力開発の関連会社役員であり、中立の研究者ではない。電力インフラがギリギリのとき「電力会社が原発で送電網を無駄づかいしているから再エネによこせ」という朝日新聞の報道は、悪質な印象操作である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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