環状2号線が出来ない政治責任はどこに?

川松 真一朗

Wikipedia:編集部

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

早いもので2月に入りました。1月中は連日に渡り朝から晩まで賀詞交換会やら新年行事で落ち着き隙間がありませんでした。

オリパラ特別委員会開催

さて、2月2日に東京都議会オリンピック・パラリンピック等特別委員会に開かれました。今回は大会輸送についてでしたので、この問題をリオ大会後から発言してきて私が自民党を代表して登壇しました。

今回のポイントは車両基地7ヶ所が決まった事が議会に報告された事です。今まで築地市場跡地を基地として活用したい案は知られていましたが、その活用法、実際の整備状況が不透明でしたので細かく質問を重ねたところです。

オリンピック開会式の輸送計画

特に議場が騒然とし、私も繰り返して確認した事項が「2020年7月24日のオリンピック開会式時の輸送計画」です。どういう考え方か聞いたところ、開会式や閉会式に参加する選手の輸送には首都高を主に使うことを検討していると回答が返ってきたのです。実際には、まもなく晴海に新しい首都高の入口が出来るのですが、それを使うとの事です。

築地の車両基地からは、すでに築地大橋(環状2号線)が架けられているので、選手村へバス等が入る事は容易です。ところが、新橋ー築地間を結ぶ地下トンネルの工事が2020年に間に合わない事が確定しており、地上部に暫定的に道路を作るものの新大橋通りとは立体交差出来ないために、数千台の関係車両が行き来すると、この結節点は渋滞のボトルネックになるのではという心配があります。

選手を乗せたバスは首都高へ向かう

そこで、先週の議会で判明したのは、北側から橋を渡って晴海埠頭(選手村)に入ったバスは、選手を乗せて選手村の東側から出て晴海通りに出て、晴海三丁目の交差点を右折し晴海インターから首都高に入るという事です。私が昨日、本件についてツイートしたところ、批判的な意見も届いています。

しかし、はっきりしておかなければならないのは、当初計画通りの環状2号線は、地下トンネルで中心部まで行けることから大会専用レーンと設定出来てスムーズに関係者の送り出しが出来る。その事で国立競技場まで10分で到着する事をIOCに約束していました。ちなみに、規制時速-5km計算です。開会式は特に一番大会関係者が集まると同時に、VIP導線、あるいは選手村に入れない競技関係者など本当に多くの方が関係車両を使用して国立競技場へ向かいます。

1万人の移動を考える

リオ大会の経験値からの推測で選手村から国立へ向かう関係者は約1万人とか1万2000人と言われています。すると、少なくとも観光バスで300台は必要になるのです。いくら時間差で出発していくとは言え、選手村から出るだけでも相当な時間がかかります。私達はその輸送の要として環状2号線が必要だと訴え続けてきたのです。しかしながら、この事を一方的に環状2号線工事の受注業者と自民党都議の癒着だと言われなき批判を受けてきました。

そこで、声を小さくするのではなく、大会の成功を願って、風評被害の中で組織委員会の森会長も、私も環状2号線だけは最優先で頭に入れて頂きたいと知事や知事の周辺者に訴え続けてきたのです。

では、今回の特別委員会におけるオリンピックパラリンピック準備局答弁どこが議論を呼ぶのかを整理します。

わずかな可能性にかけていたが・・・

そもそも2016年11月18日の記者会見で小池知事は築地の跡地を通り、2020年東京五輪・パラリンピック会場や選手村を結ぶ主要道路となる環状2号線の整備計画は、跡地の地下にトンネルを通すのは間に合わないと判断したことを述べています。とは言え、16年12月であれば何とかなるのではないか、16年度末には何とかなるのではないかと、色々と知事サイドに投げかけてきたのです。

そして、昨年の6月28日。正に都議選真っ最中。2020年大会の準備状況を確認する会議が開かれていました。この場で、森会長から市場移転問題に関連して環状2号線整備が不透明だと私見を述べておられましたが、この場で小池知事が「環状2号線はオリンピックの前に開通して、環状2号線に隣接する築地市場は当面、オリンピック・パラリンピック用の車両基地として活用する方針を示した」と説明をされたのです。

環状2号線は2020年には「開通」できない

ここでいう”環状2号線開通”という表現が小池知事流のまやかしではないかと私は都庁舎内で騒いでいるのです。昨年の7月には「暫定開通」という表現も出てきました。環状2号線の特色の一つは地下トンネルです。新橋方面と築地を結ぶトンネルが築地市場用地で地上に出て、築地大橋に繋がるという幹線です。上記の暫定開通はあくまで暫定です。市場地内の地上部道路を整備する事を意味しています。

但し、この地上部道路は当面は地下トンネルが完成する前は環状2号線に繋がるのではなく、新大橋通りと繋がっていくのは自明です。これでは、本来、私が2020年大会に期待した機能を満たせません。

というのは、環状2号線最大の魅力は、新大橋通りという大通りと地下トンネルで交差する、つまり立体交差する点にあると考えております。新大橋通りは都心中心部を横断する道路です。ただでさえ通行車両がが多いのです。ここに、2000台の大会関係車両がその都度、行き来するようでは必ず渋滞のボトルネックになると述べてきたのであります。

それでも、知事は「環状2号線」開通という詭弁を使い、私達の批判をかわしてきました。しかしながら、今回の特別委員会における局答弁で、小池知事の言う「環2開通」はまやかしであり、新大橋通りとの立体交差は不可能である事が公式の場で広く都民の皆様に知らされた事になります。知事の政治判断に左右される現場職員も苦肉の策を繰り出して、この難局を乗り越えようとしている様子が伺えます。

開会式当日は休日になるか

今回、選手1万の輸送は主に首都高を使うと言うことです。2020年7月24日は休日にして欲しいと私達は国に呼びかけています。その大きな要因の一つは環2が使えない事です。もし、休日にせず「金曜日」のまま東京に多数のバスが一定の時間に流入したらどうなるでしょうか?首都高を使うにしても、新設の晴海入口から入った場合、一度は臨海部方面に向かわなければいけません。すると、台場からレインボーブリッジを渡って都心部に向かい、外苑や高樹町出口から国立競技場を目指す事になりそうです。この間に、規制をかけない限りは首都高が混雑する可能性があり、時間通りに選手達を送り届ける難しさがあります。かと言って、全面規制をかければ首都高速側から営業補償を求められる可能性があり、これも少額ではないはずです。

すると、どっちの選択も辛い事になります。

今回のような事は氷山の一角で、まだまだ小池知事のパフォーマンスによる市場移転先延ばしによる損害は数多くあります。私は今回の特別委員会で、輸送計画の考え方や費用の考え方について、何度、都職員に聞いても答えられない事が多いのですから、是非とも、小山委員長には次に輸送が議題に上がる際には小池知事、中央卸売市場を特別委員会に呼んで頂くようお願いをしました。委員長が決断されるのは当然の事であるとも言いましたが、はたしてどうなるでしょうか?

私は、大会の成功に向けて全関係者が全力に取り組む中で政争の具にしてはならないと考えています。一日も早くを心を一つにしたいと考えます。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2018年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。