「で、なんでしたっけ?」と言われないために

2018年02月10日 06:00

写真は書籍画像


「言った、言わないでもめる」「言ったことがうまく伝わってない」など、職場のトラブルや悩みごとのほとんどはコミュニケーションによって引き起こされている。様々な理由があるが、突き詰めていくと、連絡が不十分だったとか、話がうまく伝わっていなかったとか、勘違いだったとか、人に起因することがほとんどである。

今回は、『ミス・ロスが激減する!話し方・聞き方・伝え方』(明日香出版社)を紹介したい。著者は、会社員でありながら、ベストセラー作家でもあり企業向けの研修講師などをつとめる、中尾ゆうすけさん。人事マンの、中尾さんが会社組織のなかで実際に経験したことがベースになっているので、かなりリアルな仕上がりである。

社内でよくあるこんな会話

--ここから--
A部長
「あのさ~、N社の受注の件だけど、値引きが多すぎると思う。粗利が少ないのでいくら大量受注とは言え、会社としては大赤字だよ。これを受注する意味あるの?」

B社員
「体制を変更すれば赤字にはなりませんし、トータルで考えれば悪くない案件です!」

A部長
「ハァ~、このままじゃ、君の給料どころか、社員の給料も出ないよ。何よりも現場で毎日一生懸命頑張っている人たちの努力が、この金額だということを知ったらどうかね。きっと悲しむと思うんだ。メンバーの悲しそうな顔が浮かばないか?ん」

B社員
「さすがに、そのような仰り方は・・・」

A部長
「そういえば、いま購買部にいる同期のC君は営業を希望しているという話を聞いたことがあるよ。何か聞いていないか?彼なら、現場のこともよく知っているし、リーダーとしてチームをまとめる力もある。数字にも強いだろうから、ぜひうちで活躍してほしいものだ。君の上司に適任だと思うのだがね?ん」
--ここまで--

「話が長くなると、本題から脱線したり、拡散して『で、なんでしたっけ?』ということが起こります。本ケースも、もともとは見積もりを作り直してほしいということだったはずが、いつのまにか同期の人事異動の話に変わってしまいました。」(中尾さん)

「このようなことが起きないようにするための伝え方は2つです。『言いたいことを最初に言って最後に確認をする』『相手のレベルに合わせた指示をする』。部下も次の視点が大切です。脱線した時点でタイミングを見て指摘をすることや、わからなくなった時点で一つひとつ確認をすることです。遠慮せず聞いてしまいましょう。」(同)

上司は自分のレベルで話をしがちになる。部下はわからなくて当然だから、その都度学習することの繰り返しで成長していく。

なんでも3つにはまとまらない

WW商事では、全国の支店から課長クラスのメンバーが集まって研修会を実施することになった。社内では次のような打合せがおこなわれている。X課長から指示があった。

--ここから--
X課長
「連休中に課長クラスを集めた研修会を実施することになった。そのため、まず研修会の概要を決める必要がある。Y君は次の3つのことを検討してもらいたい。
(1)基調講演には著名な人を呼びたい。費用は90分で3万円未満(新幹線自由席支給)。
(2)講演後は、各ブロックごとに研修をおこない密度の濃い交流が図れるようにする。
(3)内容は、中期事業計画をベースに、LGBT理解を深めパワハラ対策の要素も入れる。

そのため、会場は次の3つを満たしている必要がある。
(1)研修施設が併設されている、地方にある「源泉かけ流し」のホテルが理想。
(2)1泊2日(2食付)で総額300万円以内にすること。交通の便を考え都内でも可。
(3)社長が来るかも知れないので「品格のある旅館」も候補に入れること。

課長クラスは全国から集まることになるので、事前に支店長会議で了承をとらなければいけない。根回しをして3ヶ月前には確定させたい。社長がOKすれば簡単だが、念のためN部長とH支店長も抑えておくこと。で、出席可否についても1ヵ月前には決めておきたい。社長も今回の研修に期待をしているのでよろしく頼む。期待しているよ!!」

Y君
「えーっと、何を言ってるかわからないのですが。何をすればいいのでしょうか?」
--ここまで--

「このような意味不明な人がいますね。この上司は何かの研修で、『要点は3つにまとめるとわかりやすい』と学んだのでしょう。わかりやすくするためになんでも3つにまとめた結果、何がなんだかよくわからなくなってしまいました。このように仕事の手順を説明する場合、単純に3つで収まることはありません。」(中尾さん)

実際に、詰め込みすぎて何を言っているのかわからないような人は少なくない。しっかりと認識するために日常業務のチェックしてはいかがだろうか。さて、筆者も1月に新しい本を上梓したので、関心のある方は手にとっていただきたい。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト

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