自衛隊員の任務遂行基盤の為に必要とされる制度設計

女性自衛官は微増傾向で全体の約6%、1万3000人が勤務(陸自東部方面隊サイトより:編集部)

女性隊員用設備の不足がみられる

平和安全法制や、憲法の議論ばかりが喧しいが、自衛隊の組織の現状や今後の問題についての議論はあまりなされていないように思う。さまざまな論点があるが、自衛隊員の募集は常に大変だ。少子化や人手不足により、最近はさらに大変さを増しているということである。

当然ながら女性に活躍していただくという社会の状況もあり、女性自衛官も増えている。しかし、もともと男性型組織のため女性を受け入れる基盤がまだまだ整っていない。

ここ数日地元の佐渡島では断水が続いており、今でも約2000世帯が通水できていない。自衛隊に給水活動を行っていただいている。また佐渡分屯基地(ガメラレーダー基地)は山頂にあるため、除雪専門部隊が昨年来派遣されてきているが、女性隊員が一人含まれているようである。しかし、除雪部隊が泊まる宿舎では女子トイレや風呂場など、女性用設備が不足していることから、現地の声として女性を受け入れる基盤が弱いという声もある。

自衛隊の活躍の場が増えている中、私たちが考えなければならない問題だ。

必要とされる制度設計

集団的自衛権の一部が認められ、戦地に赴く可能性が出てきたが、米国では深刻な状況に陥っている、戦闘PTSD問題も他山の石とせねばならない。当然、現在も災害派遣や国連PKO派遣においても手当しておかなければならない問題だが、さらに多様なケースを想定し準備をしなければならない。

そもそも軍事法制が不在というお国がらもある。自衛隊は戦力ではないため、諸外国で一般的な軍事法制が整備されていない。命令の不服従や部隊崩壊が少しでも生じてしまえば国際的信用は失墜する。どれほど自衛隊の皆さんを信頼しても、戦地では何が起こるかわからないこともしっかり弁えながら制度設計を行わねばならないのは当然だ。

また殉死者や戦死者の慰霊追悼を行うという問題もある。靖国神社にお祀りすることにかかわる問題だ。

平和安全法制が成立すると徴兵制になるといった的外れな批判があったが、現実徴兵制になっていない。むしろこの先、兵器の無人化、ロボ化が進み、戦闘に対する抵抗感がなくなってしまうことや、それに伴う倫理こそが問題となるだろう。

的外れな批判よりも、もっと現実に即した議論こそが望まれる。


編集部より:この記事は、衆議院議員の鷲尾英一郎氏(無所属、新潟2区)の公式ブログ 2018年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鷲尾英一郎の日記をご覧ください。