大王製紙・井川元会長の事例でみるギャンブル依存症(下)

2018年02月17日 11:30

さて、前回のブログの続きです。

100万円が2000万円になるというビギナーズラックを経験した井川さんでしたが、「その後10年間は年に1回程度海外カジノに出かけるお遊び程度だった」とおっしゃっています。

ところが、今から10年前。知り合いがマカオのカジノでジャンケットになったことから、人生の歯車が一気に狂いだしたそうです。

このジャンケットというのは、どこのカジノでも取り入れている制度ではありませんが、要するにVIPの接待係で、自分の担当しているお客さんが賭けてくれば賭けてくれるほど自分の収入になるらしいです。

ちなみに現在日本で起きてるIR構想では、ジャンケットは禁止です。

もちろん我々のような庶民がいくらカジノに行ったって、ジャンケットの方がお相手して下さることなんぞありません。今まで、ご相談受けてきた中にもかなりお金持ちっていましたけど、ジャンケットに借りて・・・みたいな話になったのはたった一人ですね。

で、井川さんはとんでもない超お金持ちですから、このジャンケットのお友達が接待してくれるようになった。でもってある時3日間の予定で遊びに来たカジノだったのに、初日で全部使っちゃった。
仕方ないもう帰ろうか・・・ってな気分になってたら、この方から「300万円~500万円ならお貸ししますよ」と言われる。

こっからズブズブになっていくんですね。まさに借金生活の始まりです。

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持ってきたお金がなくなっても、借りられる。
そうすると予定の時間目一杯賭けられるようになっちゃうわけですよね。

このパターンは、闇カジノにはまっていた人たちの相談でもよく聞きます。
井川さんは元手がなくなると、ジャンケットから湯水のごとく借りたそうです。

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そして借金はどんどん膨れ上がっていき、
子会社から投資目的と理由をつけてお金をひっぱるようになっっちゃった。

で、ですねこの子会社からひっきりなしにすごいお金を借りるわけですが、これは我々も身に覚えがありますよね。一日に何度も金を引き出す・・・これがギャンブラー。

井川さんの場合は金額がでかいから、一日に何度もというわけにはいかないようで、こんな感じになっていたそうです。

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で、このあたりから実にギャンブラーっぽくなっていくんですけど、もう負けすぎて、「負けを取り戻すために、やるしかない・・・」って思いこむようになるんですね。
「これは仕事だ!」と。

はい、もうこれはみんなが知ってる依存症心理。
「ギャンブルで負けた金は、ギャンブルで取り返す。」
さまざまな心理テストにもある設問ですよね。

私ももちろん当たり前のようにそう思っていたし、むしろ一般の人はそう思わないんだ!
とNTTデータさんとLINEアプリを作った際に初めて知ったくらいです。

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でもって、取り戻すためにはちまちまやってたって勝てない!
ってなことで、大きなレートで賭けられるシンガポールに勝負の場を移したそうです。

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これも実に我々と一緒。
こんだけ負けてるんだから大穴狙うっきゃない!
ってなって、益々ドツボにはまるんですよね。

実際、井川さんも150万からバカラで23億勝ち上がったそうですが、その時借金が50億あったそうで、これじゃまだ足りない・・・それにこれだけ勝てるんだから、もう少しやったら50億勝てるんじゃないか?
って思って賭け続けて、ついに23億全部溶かしたそうです。

すっすごい・・・

でもすごくわかる。めっちゃ規模小さいけど、私もバカラで5万から80万まで勝ち上がって、結局200万負けたことありました。

あの時は頭が真っ白・・・
でもここまで勝ち上がったんだから、また取り返せる!って、どんどん掛け金が大きくなっちゃうんですよね。

で結局、子会社からの問い合わせで、本社にばれて、4年の実刑判決になるわけですけど、この時の心境として、「これでカジノをやらなくて済むというほっとした気持ちは正直あった」とおっしゃっていて、実によくわかる~!と思って、思わずホロリとしました。

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みんな同じですよね。
やめたくてもやめられなかった。
覚せい剤でも、高知さんが警察に「来てくれてありがとうございます」と言った、あの心境・・・すごくよくわかります。

ギャンブルなんか全然楽しくない。
でももうどうにもならなくなっていて、やるしかない・・・と思いこむしかなくなるほど追いつめられていくあの心理。もうあの苦しさは、なった人しか絶対わからないです。

実は、私たち獄中の井川さんにお手紙出しているんですよね。
考える会ができた後、私、自分が代表では役不足な気がしていて、井川さんになっていただけたらなぁ~と思っていたんですよね~真面目に。

もちろんお返事も来ませんでしたし、その後週刊誌のインタビューで、我々の手紙のことかなり否定的におっしゃっていたので、まぁそっか・・・てな気持ちで、今は「井川さんに考える会の理事長をやって貰いたい」という構想はあきらめましたけど、でも最初はかなり真剣に考えていて、全国の仲間から寄せ書き集めたりしたんですよね~(笑)

まぁ、あちらはVIPですから、こちらに共感はありませんよね。

でもこちら側から見ると、井川さんのたどってこられた道は、まさに我々そのもの。
スケールの大きさの違いだけなんですよね。

つまり何が言いたいかというと、依存症にまでなって、やめたくてもやめられなくなるのは、
不可能を可能に変える第三者の存在
望むと望まないとに関わらず、結果的に、手助けしてしまう存在があるから依存症になっちゃうんですよね。

この第三者の存在がキーマンなんだ!って、是非とも社会の人たちに知っていただきたいなぁと思って、私たち日夜活動にいそしんでおります!


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年2月13日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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