葛飾区議選・地方公共団体の選挙に係る争訟の流れと仕組み

2018年02月24日 11:00

千葉県議会議員(無所属)の水野ゆうきです。

昨日(2月23日)は代表質問3日目でした。

さて、21日より、昨年11月(定数40)に行われた東京都葛飾区議会議員選挙について、都選管の再点検により次点と1票差で当選した大森さんの当選無効に関する報道が出ています。

・・・一体どういうことなのか?よく流れや仕組みがわからない方が少なくないと思いますので、解説します。

葛飾区議会議員選挙において、新人の大森ゆきこさんは2176票で最下位当選し、現職であった会田浩貞さんは次点で1票差で落選をしました。

そこで、会田さんは葛飾区の区選管に異議を申し出ましたが、区選管は再点検をせず棄却したため、東京都の選管へ審査の申し立てを行っていました。

この件に関し、昨日よりテレビ等の報道機関から私のもとにご連絡をいただいているのですが、議会中ということもあり、なかなか時間がとることができず、休憩時やランチタイムに電話で回答をさせてもらっています。

千葉県の選管や市町村選管からしっかりとレクチャーを受けましたので、まずは仕組みについて現職議員も首長も候補予定者も有権者もしっかりと知っておいた方が良いので解説します。

もし選挙ついて異議があった場合どういう手続きをするのか?

ということです。

地方公共団体の選挙に係る争訟の流れ

※地方公共団体に限ります。国政は流れが異なります。

☆異議あり、と思ったら、まずは

①市町村選管へ異議の申出を行う※選挙の日から14日以内

~申出を受けた日から30日以内に決定するよう努めらなければならない(努力義務)~

市町村選管の決定

※理由を付して決定書を申出人に交付&決定の要旨を告示

☆市町村選管の決定に不服の場合は、

②都道府県選管へ審査の申立を行う

~申立を受理した日から60日以内に裁決するよう努めらなければならない(努力義務)~

都道府県選管の決定

※理由を付して裁決書を申立人に交付&裁決の要旨を告示

☆都道府県選管の決定に不服の場合は、

裁決書の交付を受けた日又は要旨の告示日から30日以内に訴訟を提起することができる。

③高等裁判所へ提訴

~事件を受理した日から100日以内に裁決するよう努めらなければならない(努力義務)~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以上が地方公共団体の選挙に係る争訟の流れとなります。

今回の場合は落選した会田さんがまずは区選管に申出をし、棄却を受けて、都選管に審査の申立を行い、都選管が申立を受理し、全票を点検したところ大森ゆきこさん入った2票を無効と裁決した、というもので、この都選管の裁決に対して、今度は大森さんが不服とし、大森さんが高等裁判所へ手続きを進める、ということになっております。

そこで問題になるのが都選管が無効とした2票です。

その2票には

●大森ひでこ

●大森ようこ

と書かれていました。

葛飾区の選管は大森さんの有効票とカウントしたのですが、都選管は「ひでこ」「ようこ」という名前の候補者が他にいたことから(要は別姓同名)、この2票を無効票と判断をしたのです。

この都選管の裁決により当選を無効としたのですが、大森さんは高裁に提訴する意向で、判決が確定しない限りは区議会議員の身分は残ります。

ということで、千葉県の選管と地元の選管に公職選挙法をもとにレクチャーを受け、疑問に思うことを聞いてみました。

☆千葉県ではこうした事例があるのか?

→千葉県は県の選管への申立は数年に1度ペースであるものの、様々なケースがあり、当落がひっくり返ったケースはないと記憶している。

☆按分計算はどういったケースで行われるか?

→同じ名前の候補者が複数いた場合に按分計算が行われる。

今回の場合は

●大森

●ひでこ

●ようこ

とそれぞれ一人しかいないので按分は発生しない。

要は「大森ようこ」と書かれたものが「大森さん」と「ようこさん」に按分で票が加えられるわけではない。ちなみに複数名「大森さん」がいた場合の計算は基礎票をもとに計算される。

☆市の選管は申出、県の選管は申立を受けた際、それを受理し再点検等する基準やルールはあるのか?

→特にない。申出、申立の内容や必要に応じて行うこととしている。

☆開票作業を行う職員によって無効になったり有効になったりするのはどうかと思うが、職員に研修等はしているのか?

→考え方としては選挙人の意をくんでなるべく「有効票」にするようにということになっている。

無効票の場合は確実に誰から聞かれても無効の説明ができるもので、無効票を減らす努力をしている。

開票にあたる職員に関しては、判定基準や裁判の例示等が記載されたマニュアルを読み込ませる。

開票所では確実に候補者の名前がわかるチームと審査チームの二手に分かれる。判断のしにくい投票用紙に関しては選挙に精通している職員およびベテランに判断をゆだね、最終的には選挙長が判断する。

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これは千葉県と我孫子市の選管に確認した事項です。

疑問点として残るのは、なぜ葛飾区の選管が棄却をしたものを東京都の選管は申立を受理して再点検を行ったのか、ということと、区と都の解釈の相違があるということかと思います。

この問題を受けて、いかに名前を正確に書くことが大切であるか、ということを候補者も有権者も心底感じなくてはなりません。

名字だけで書いてあれば有効であると容易に判断されるわけですが、下の名前を間違えてしまったがために無効となってしまったら本当にもったいない。。。

現在の日本の選挙の仕組みの一つとして絶対に知っておいた方が良いです!


編集部より:このブログは千葉県議会議員、水野ゆうき氏のオフィシャルブログ 2018年2月23日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「水野ゆうきオフィシャルブログ」をご覧ください。

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水野 ゆうき
千葉県議会議員(我孫子市選出)

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