まだ報連相で消耗してるの?先を行く「ソラ・アメ・カサ」

2018年02月25日 06:00
写真は松本さん(著者許可により掲載)

写真は松本さん(著者許可により掲載)

社会人になると、いままでとは異なる特殊なルールがあることに気が付く。その一つが「報連相」ではないかと思う。報連相は「報告・連絡・相談」の略称になるが、上司や周囲とのコミュニケーションにおいて大きな役割を担っているとも言われる。果たしてそうなのだろうか。必要なのはわかっているが、改めてその役割を考えてみたい。

今回、紹介するのは、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)。著者は、人材コンサルタントの松本利明さん。PwC、マーサー、アクセンチュアなどを経て現職。これまで、5万人以上のリストラを行い、6000人を超える次世代リーダーや幹部の選抜・育成に関与した人材のプロフェッショナルでもある。

過去の事例や前例を引き合いに出す

――社内における「報告」は、部下から上司になる。「連絡」は、必要な情報を関係者に伝えること。「相談」は、判断に迷ったときに上司(先輩)に話を聞いてもらいアドバイスをもらうこと。なおざりにした結果、上司に怒られたなんてことも少なくない。しかし、報連相は過去進行形の産物である。それを本記事では解説したい。

「上司に『報連相』を行い、具体的な指示をもらって動けば、仕事のムダはなくなります。しかし、上司から言われた通りにやってもうまくいかない、相手をかえって怒らせる、契約を失注する。こうした経験はありませんか?きちんと『報連相』をしているのに、上司からは『報連相ができていない』と怒られるジレンマ。」(松本さん)

「仮に自社と良好な関係を築いている取引先に対し、ライバル会社が自社より安い見積もりを提案したとします。上司は『よしライバル会社より高くない印象を持たせるように再度見積もれ』と指示、部下は『ライバル会社より、安く見積もりをだしました』。その結果、『今までぼったくっていたのか』と信頼を失い、注文がこなくなる。」(同)

――「報連相」を意識しすぎるとこのような悲劇を招く。このような時には、「報連相」ではなく「ソラ・アメ・カサ」を使うことですべてが解決する。これはマッキンゼー・日本オフィスが考えた思考のフレームワークとして有名だが、簡単なので覚えておきたい。

「簡単です。『空を見ると曇ってきた(事実)。雨が降りそうだから(洞察)、傘を持っていこう(打ち手)』と覚えてください。事実を伝えるとき(ソラ)に、『どうなりそうか?』(アメ)、『ゆえに、どんな打ち手や行動をすればいいか』(カサ)の3つをセットにして伝えるのです。すると、認識のズレなく判断してもらえます。」(松本さん)

――確かに、経営者が重要な意思決定を行うときは、「事実」「洞察」「打ち手」の3つが必要になる。この3つがセットされることで適切な意思決定を行うことができる。

そのなかでもポイントは「アメ」になる

――それでは、「ソラ・アメ・カサ」の使い方を説明したい。

「『ソラ・アメ・カサ』で肝になるのは、事実をどう解釈し、洞察するかという『アメ』です。アメは日本語でやりとりすると省略されてしまうことが多いので、こちらからアメを伝え、認識のズレを確認するといいでしょう。アメは1つではないからです。事実をどう解釈したか、その仮説の数だけアメは生まれます。」(松本さん)

「相手が何を求めているかによって、それぞれ打ち手も変わります。品質・クオリティを重視しているのであれば『当社の製品は品質がよく壊れない。10年使うならランニングコストでメリットがある』。価格を重視しているなら『イニシャルは安く導人してもらい、メンテナンスコストで回収する』という打ち手になるでしょう。」(同)

――さらに、「ソラ・アメ・カサ」は簡単に見につけることができる。上司に報告する際、頭の中で、「ソラを伝えたので、次はアメ。最後はカサ」と順番を守って話せばいいだけ。「すぐ習慣になる」と、松本さんは解説する。

「ただし、1つ注意点があります。日本人は改善思考が強いこともあり、アメを考えるとき、つい課題や原因を探ってしまうことが多いのです。課題や原因の洞察が正しくても、『その結果どうなりそうか』という未来予測が異なると、打ち手も異なります。日本人は原因探しになりがちなので、その点を注意してください。」(松本さん)

――PwC、マーサー、アクセンチュアといった世界的な外資系コンサルティング会社で、松本さんが一貫して行ってきたことは「人の目利き」である。優秀なエリートには共通点がある。それは仕事への姿勢である。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。ラクに速く仕事をするほうが、結果が出て、さらに人生の選択肢も増える。

〝ラクをする〞とは「手抜きをする」「適当にする」ということではない。力の「入れ所」と「抜き所」を押さえ、ムダな仕事を減らすことだ。この心がまえを持ち、日々の仕事にとり組めるかが重要である。さて、拙著も仕事の参考になるかも知れないので紹介しておきたい。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト

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