働き方改革、ここが間違っている!

朝まで生テレビ公式サイトより:編集部

1986年、男女雇用機会均等法が施行された。それから30年余を経た2015年、女性活躍推進法が施行された。だが、女性の地位はどれほど向上したのか。

ここに、世界経済フォーラムが、世界各国の男女平等の度合いを示した「ジェンダーギャップ指数」の2017年版がある。いわゆる「男女平等ランキング」だ。

このランキングで日本は、なんと114位だったのである。前年より3つ順位を落とし、先進国のなかでは最下位だ。なぜ、こんなことになっているのか。

安倍首相は、「女性活躍の旗を高く掲げ、成長戦略のど真ん中に位置づけました」と語っている。だが、何かズレているのではないか。

先日の「朝まで生テレビ!」では、女性論客11名と徹底討論した。まずは安倍政権の政策について、東海大教授の金慶珠さんは、「女性の人権、ライフワークバランスとか言うけれど、移民は受け入れられないから女性が働けという発想が透けて見える」と、ずばり指摘した。

そして何よりも、論客たちが口を揃えて言うのは、「長時間労働」が問題だということだ。それも、日本は男女かかわらず、「長時間労働」になっていて、それが問題の根源だと言う。

女性が「活躍」とよく言われる。だが、現在の日本のような、残業が当たり前という働き方を女性に求めることは違う、と僕も思っている。それは、「男性並」の働き型を女性に求めるということでもある。福島みずほさんも、「『男性並』に働きたいと一度も思ったことはない」と強く語っていた。

日本では、法律的には、出産休暇、育児休業制度は整備されている。当然ながら労働基本法も整備されている。それなのに、この法律を活用させることができない、「空気」が支配しているのだ。

最近、「マタハラ」という言葉をよく耳にするようになった。「マタニティハラスメント」の略だ。この「マタハラ」のように、出産休暇や育児休暇などの当然の権利を行使しようとする女性社員も、いやがらせを受けるという。東京都議会議員の上田令子さんも、会社員時代に「マタハラ」を受け、転職を余儀なくされたそうだ。

要は、法律などは整備されながら、これまでの「男性並」の働き方に、女性を合わせようとする企業が、いまだにたくさんあるのだ。残業は当たり前、企業に尽くせ、という文化がまだまだはびこっているからだろう。

なぜ、日本はこんなにも長時間労働なのだろうか。僕は、仕事の絶対量を減らすしかないのではないかと思う。「お客様は神様です」という言葉があるように、日本はサービス過剰に陥っている。社員に長時間労働を強いることが当然になっている、と僕には見える。

優秀な女性はたくさんいる。さまざまな企業の役員などに聞くと、入社試験で上位を占めるのは、女性が多いという。自由な発想をするのも女性の方が多い。前滋賀県知事の嘉田由紀子さんは、「中高年男性の発想ではガラパゴス化してしまう。パナソニックのななめドラム型洗濯機も、ノンアルコールビールも女性の発想だ」と語っていた。

だが、日本という国の風土が、優秀な女性たちが働き続けることを許さない社会なのかもしれない。たとえば『日本経済新聞』の「私の履歴書」欄を読むと、大企業の社長、役員たちは、「若い頃は寝食を忘れて夢中で働いた」というようなことばかり書いている。こういうことを誇らない社会にしなければならないのだ。

ジャーナリストの福島香織さんは、「今日ここで話しているのは、女性問題ではなく、男性問題でもあり、男女問わず『働き方』の問題だ」と語っていたが、まさしくそうだと僕も思う。

だが、その一方で、希望的すぎるかもしれないが、いま日本は変わりつつあるのではないかとも僕は思っている。

かつては当然のことと無視されてきた「過労死」や「マタハラ」が社会問題になっている。若い世代には、残業しない社員、終業時刻に帰る社員が増えているという。これからの経営者は、変わらざるを得なくなるのだろう。

安倍晋三首相は「働き方改革」を謳っている。だが、この改革は本当に国民を幸せにするのか。考え方がズレていないか。いま一度きちんと検証してほしいと、僕は願っている。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年3月2日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。