1語でも伝わり方は大違い!「て・に・を・は」の使い方

photo-ac.comより


日本語はとても複雑なもので、ちょっとした言い方、表現の仕方でニュアンスが大きく変わってきます。そのためにも大事なのが基本的な文法の使い方。これがわかっていなければ、時に誤解を招くこともあります。

「今さら」と思われるかもしれませんが、やっぱり基本的な文法は大事!無意識に使いがちな文章の基本を改めて見直してみましょう。まず最低限、意識しないといけないことがあります。それは「て・に・を・は」の使い方です。

「て・に・を・は」とは、助詞の古い呼び方です。「は」「が」「も」「を」「に」など、語句と語句をつなげて、前後の関係をあらわしたり、一定の意味を加えたりする付属語ですが、使い方を間違えると、文章のニュアンスが変わってきます。

A.居酒屋に入った。「ビールがいいです」。
B.居酒屋に入った。「ビールでいいです」。

Aは、「ビールがいいんだ」という意思を感じます。Bだと、とくに意思は感じられず、「何でもいいけど、とりあえずビールでいいです」という消極的な印象です。「が」と「で」が違うだけで、ずいぶん印象が変わりますね。もう一つ、わかりにくいのが、「が」と「は」の使いわけです。

A.散歩が好きです。
B.散歩は好きです。

Aは「散歩」が際立ち、②だと複数あるものの一つとして、「散歩が好き」というニュアンスになります。

A.総務部の田中課長がカッコいい。
B.総務部の田中課長はカッコいい。

Aだと、田中課長が目立つ印象ですが、Bはいまひとつ、何を強調したいのか、曖昧な文章に感じませんか?これは、前後にひと言入っていると、その違いがよくわかります。ランチ中の女性社員に聞きました。社内で人気があるのは?

A.そうですね。「総務部の田中課長がカッコいい」と思います。
B.そうですね。「総務部の田中課長はカッコいい」と思います。

Aはより明確に田中課長に焦点が当たり、Bは、「強いてあげるなら、田中課長かな」という控えめな空気を感じます。これらのように、「が」を使うと、より強く感情を伝えることができます。たった一語で大きく変わる、ということを覚えておくと便利です。

参考書籍
あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト