利便性の向上が、“飲食店ドタキャン”などのトラブルの一因かも!

2018年03月12日 06:00

先般、ドタキャンをされた飲食店が、予約者に対して14万円弱の欠席勝訴判決を取ったと報じられた。
ただ、勝訴判決を受けても金額回収が困難な場合が少なくない。相手に銀行預金や不動産、はたまた確実に支払われる給与など、差押対象財産がなければ、勝訴判決は「絵に描いた餅」だ。

「費用をかけて訴訟をしても一円も回収できないかもしれませんよ。着手金をドブに捨てる覚悟があるならお受けしますが…」と言って、私はこの種の依頼を事実上お断りしてきた。

もちろん、「気持ちの問題で銭金の問題ではない。一円も回収できなくても結構だ」と断言する人の依頼は受けて、運のいい時は功を奏することもあった。相手が出頭してきて、毎月少額ずつ返済するという和解や、義務のない親族が一部払って残金をチャラにするという和解ができれば、まあ御の字だろう。

ドタキャン防止のため、予約を入れると同時に事前にカード決済をして前払いをするというシステムが導入されつつある。しかし、これは客側のリスクが大きい。

宴会の幹事をやった時、前金で全額支払ったら、食事や飲み物があまり出てこなくて参加者に苦情を言われた経験を二度ほどしたことがある。いずれも信頼していた店だっただけに、今でも残念な気持ちが胸の中に残っている。

飲食店は、食材という痛みやすい材料を仕入れて料理を客に提供する。
天候不順などで客の入りが悪くなれば、痛んだ材料は廃棄しなければならない。

景気だけでなく天候その他様々な要因によって、日々の売上だけでなく店の経営そのものも左右される。
苦しい時に前金を全額受け取れば、料理の量や質を落としたくなるのも人情かもしれない。

折衷的な解決策として、「全額前払い」ではなく「手付金」にするのも一法だ。
ドタキャンの場合は手付金を没収して損害を填補すればいい。申し込んだ側も、緊急事態等が発生した時、手付金だけで全額支払いを免れることができる。

昨今、結婚披露宴会場で、想定外の費用を請求されるトラブルが起こっているというニュースを目にした。
「カメラ持ち込み料」や「衣装持ち込み料」を当日になって請求されたという苦情が、各地の消費者センター等に寄せられているという。

飲食店のドタキャンとは逆に、こちらは業者が悪徳のように思える。このようなトラブルが(単に顕在化しているだけでなく)実際に増加しているとしたら、申込み等がネットで簡単にできるようになったことも一因ではないだろうか?

ネットで簡単に契約を成立させるのではなく、双方が顔を突き合わせてきちんと打ち合わせの上契約を結べば、このようなトラブルは減少するはずだ。私が大学生の頃は、大人数で宴会をやる場合は、事前に店に行って値段や数量等を調整して予約を入れたものだ。

顔を突き合わせて打ち合わせをすれば、相互に信頼関係が生まれる。心情的にドタキャンなどできなくなるし、店側も期待に応えようとしてくれる。披露宴でも、顔を突き合わせて様々な条件を確認しあえば、当日になって不測の請求などできなくなる。

契約締結時に顔を突き合わせて条件等を詰めておけば、トラブルは激減するはずだ。
安易にネットで瞬時に契約すると、後々のトラブルが発生する確率が高くなる。

それなりの金額が関わってくる場合は、(電気製品のネット通販のような場合でない限り)双方の事前打ち合わせを勧めたい。

一晩の宴会でも、店に赴いて打ち合わせをすれば、予算内で当方にとって遥かに望ましい内容に変えることができるケースが多々ある。
「サイト上ではこうなっていますが、この品をこちらに変えることも可能です」と提案してもらったりして…。

それなりの宴会であれば、面倒がらずに打ち合わせに行こう。手間をかけた以上の見返りを得られることが、案外たくさんある。

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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