首相官邸は改竄をいつ知ったのか

2018年03月17日 14:00

森友学園の文書改竄問題は、常識では考えられない展開になってきた。私は一次情報をもっていないので以下は報道をもとにした推測だが、これが理財局の中の問題でないことは明らかだ。少なくとも財務省の大臣官房、あるいは首相官邸が、かなり早くから知っていた疑いがある。

改竄が「2017年2月下旬」に始まったのは、2月19日の「私や妻が関係していたら総理大臣をやめる」という首相答弁がきっかけだと思われる。昭恵さんの名前は「普通財産の貸付けに係る承認申請について」(2015年2月4日)に2回でてくるが、これだけが財務省の電子決裁ファイルに残っていたことからも、特別に重要な文書だったことがわかる。

原本には「これまでの経緯」の説明に多くの下線が引かれ、その多くが政治家の介入を示す部分だ。交渉に2年近くかかり、政治家を使って無理な要求を重ねる籠池理事長に担当者が手を焼いていたことを示している。決裁文書にこういうくわしい経緯を書くのは異例らしいが、あとで問題になったとき、担当者が最善をつくした証拠を残すためだろう。

ところがこの問題が2017年2月に朝日新聞の報道によって国会で取り上げられ、佐川理財局長が「価格交渉はしなかった」などの虚偽答弁を重ねた。これが昭恵さん以外の部分にも改竄が広がった理由だと思われるが、ここで不可解なのは、国交省大阪航空局にも決裁文書を渡したので、財務省の文書(国会と検察に渡したバージョン)だけ改竄すると足がつくことだ。

これを合理的に説明することはむずかしいが、近畿財務局が大阪航空局と口裏を合わせて隠したとも考えられる。森友問題はもともと大阪航空局が籠池理事長のからんできた問題物件を近畿財務局に持ち込んだので、財務局としては「貸し」があったのだろう。これについては今月5日に国交省が杉田官房副長官に報告したということになっているが、もっと早くからわかっていたはずだ。

遅くとも2017年4月に検察の捜査が始まった段階で、文書改竄は近畿財務局や理財局を超える問題になった。検察や国会への対応は財務省の大臣官房なので、少なくとも官房は改竄を知っていたはずだ。これは首相の地位にかかわる問題なので、首相官邸にも連絡するのが常識だろう。

少なくとも理財局は、昭恵さんの名前を削除するとき大臣官房に相談し、それを官房は首相官邸に報告したものと思われる。あるいは削除する前に、財務省が官邸に相談したかもしれない。いずれにせよ杉田副長官は、去年の早い時期に知っていたはずだ。菅官房長官も知っていた可能性がある。

朝日の情報源は大阪地検だといわれているが、検察が朝日より前に官邸に報告することは確実だ。むしろ官邸が早い時期に改竄を把握して財務省に事態収拾を求め、それが進まないので朝日にリークして引導を渡したのではないか。3月2日の大スクープが予算案の衆議院通過の直後だったことは、たぶん偶然ではない。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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