学級崩壊がニュースになる間は日本企業の復活はない

2018年03月18日 12:00

前回の記事は、学級崩壊がけっしてレアケースでない、現在の学校においてはありふれた光景であることをお知らせしたかったのですが、今回は、学級崩壊を起こしてほしくないという保護者からの期待と、それにたいする教員の努力によって、日本社会は多大な不利益を被っているのではないかという「仮説」を考えてみたいです。中央官庁や大手企業の優秀な方々が、その道を外れる恐怖感によって、場合によっては自殺にまで追い込まれてしまう心情は、いつ植えつけられるのかという深刻な「問い」でもあります。

問題は学級崩壊ではない、学級崩壊を忌避する心性だ

教員は、学級の秩序を維持するということをいちばん期待されます。それは教員に無茶な学級経営を強います。
なぜかというと、保護者の方々も、学級の秩序の維持を教員に臨んでいるからです。みんな姿勢正しく席に座り、手は真っ直ぐ天に向けて挙手。という姿が理想だと思っているのです。保護者ですら。そういう教育を受けてきたので。
この教育は、クラスのいちばんコントロールの効かない児童生徒に照準を合わせて運営されています。かなり強圧的で威嚇する方針で学級経営をします。教員は、そういった姿勢で児童生徒にガリガリと詰め寄ることによって、学級の秩序を維持します。

それで保護者も満足してしまう

それによって保護者も満足しますし、それができない教員は保護者からも同僚からも信頼を失います。
維持はできるのですが、ふつうの心根の児童生徒はどうでしょう。教員は恐ろしい。教員の言うことは聞かなくてはとなるのは必至でしょう。さらに教員の顔色を見て行動するような心情が内面化されます。
この関係が短くて6年間、長ければ12年間も続けば、大人になっても自分で物事の軽重を判断できない、誰かの言うことをきかなくてはという心性につながってしまうのではないでしょうか。学級を乱す児童生徒に対抗するための手段が、ふつうの児童生徒には心理的な傷を負わせるのです。無意識に。
この点はあまり指摘されないのですが、学校問題の最大の瑕疵なのではないかと私は考えています。

本当の被害者は善良無辜な児童生徒だ

これが大きな問題なのは、教員たちはこの指導を悪意をもって行っているわけではないことです。現状では、これしか学級の安定を維持できなる方法がないからです。
私としては、教室などに音声も拾える防犯カメラをおいて、第三者による監視をするべきではないかというところまで、学校は追いこまれていると思います。誰もそこまで認識していませんが。
つまり、学級で問題があった場合、その記録を解析し、これは教員の指導力不足だねとか、これは指導が行き過ぎてるねとか、これは児童生徒の不法行為と言えるねとか、これは陰湿ないじめだとか判断するべきだと思います。いじめに関しては、裁判に準じるような中立的な係争機関が必要かもしれません。

密室の正義は正しいのか

現状では、密室で、完全に教員の人間性にかかっています。私も、ある教員のその言動や挙動が、保護者の前で同じことができるのか?と思われる場面に遭遇したのは一度や二度ではありません。それが逆に問題が起こった時に、こちら(学校)から返す言葉を奪います。こちらの不手際によって、児童生徒の不法行為に反論ができなくなるのです。
発達障害、とくにADHDが問題になっていますが、彼らの対応はどうするべきでしょうか?やっぱり、規律に従わせるべきでしょうか。教員はかなり無理な対応を迫られるでしょう。そして規律を守らせることによって、そんな威圧をかけなくても規律を守れる児童はますます委縮します。それにADHDのように今後日本経済に必要とされる「尖った才能」もかなりの確率でつぶされるでしょう。(実際つぶされています。)
長じて、だれか怖い人の言うことに従って行き詰った結果、会社で挫折をしたら、自殺もしかねないのではないでしょうか。ゆえに和を乱さず、忖度し、前例を踏襲して、自分の殻に閉じこもってしまいます。今の日本企業にいちばん必要な「現状変更」からいちばん遠い人間を量産しつづけているのです。そして多くの企業側も、現状を忖度して維持してくれる人材を嘱望しつづけています。まさに、学校化する会社 会社化する学校です。

ほんとうの教育問題

このように、教育問題とは、やれアクティブ・ラーニングだ、英語教育だ、ICT活用だと浮かれている場合ではなく、本質的な議論をすべきではないでしょうか。そこにある問題点に気づいてくれる方が一人でも増えることを祈って、筆をおきたいと思います。

だから、優秀な学生は外資に行くんだろうなあ。

中沢 良平(元小学校教諭)

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