IR実施法提出の前にハッキリして欲しい3つのこと

2018年03月22日 06:00

国会が、これだけ森友で混乱している状況で、果たしてIR実施法が今国会で提出されるのか?
注目していきたいところですが、私としては、こんな何もかも漠としていて、しかも依存症対策について全くめどもたたない状況で、実施法をすんなり通されてはかなわない…という不安な気持ちがあります。

そこで今日は、IR実施法が提出される前に明らかにして欲しい、3つのポイントについて書きたいと思います。

まず1つめ
一体カジノは最初にいくつ許可され、上限は何カ所になるのか?

これが一向にはっきりしないですよね。
去年まで「最初は2~3箇所」と言っていたのに、今年に入って急に「4~5箇所」になりましたからね。
これ5カ所だったら、ずっと誘致レースをやってきた自治体全てに配慮した形になります。

だけどこちらとしたら5カ所もカジノができたら大変ですよ。
自助グループなどの受け皿が全く足りていないギャンブル依存症対策。
今だって騒がれている割には、遅々として進んでいません。こんな調子でどうなることやらと暗澹たる気持ちです。

そして、最終的にはカジノは何カ所まで作られるのか?
ココハッキリして欲しいです。万が一日本にカジノが10カ所以上作られる…なんてことになったらどうなるのか?
カジノもパチンコ同様の身近なギャンブルになってしまいます。

カジノを貴族の遊びのように誤解してたり、「パチンコとは違う」なんて言う人がいますが、
きょうび大学生だってハマっている子は沢山います。
身近にあれば、誰でもハマる、どのギャンブルもそうですがカジノも同じです。

そして2つめの疑問です。
一体、ギャンブル依存症対策の予算はどうなるのか?です。

現在、依存症の予算は厚労省につく訳ですが、
今年の厚労省予算は6.1億円で、昨年の5.3億円から8千万円増えました。

でも皆さん、たったの8千万円ですよ。
しかもアルコール・薬物・ギャンブルあわせて。

これだけIRで大騒ぎされて、厚労省は8億の予算要求したのに、結局話題の財務省に削られ6.1億。
これで一体何ができるというのでしょうか?森友なんかポーンと8億値引きされたというのにこの違い。

「ギャンブル依存症対策をしっかりやっていく!」
これは今の所口先だけで、一向に実現していません。

また常々申し上げている通り、公営競技のあり方がそうなんですが、売り上げから一定額納付金として国が吸い上げているのに、そのうちの何%かはギャンブル依存症対策費にまわされないとおかしいですよね。日本には諸外国にはあるこのギャンブル依存症対策費の規定がないのです。

そしてカジノもまたしても同じ建てつけ。納付金は全部一般財源に回されてしまうんです。
この国は、今まで吸い上げたお金を1円だって依存症対策にまわしてこなかったのに、今度は信じてくれと言ったってそれは無理な話です。
一体、予算はどこからどの程度持ってきてくれるのか、ギャンブル依存症対策の重要なポイントです。

そして3つめです
カジノにパチンコ産業は参入するのか?

これは私の大きな関心事です。
今までギャンブル依存症対策に非協力的だったパチンコ業界が、カジノに参入してくることだけは絶対に阻止したいです。
カジノで依存症対策をしっかりやるとは決して思えないからです。

つい先日もこんな記事が出ていましたが、
“カジノ法案”成立、実際の設置は「IR実施法」成立後(プレジデントオンライン)

パチンコ業界というのはこれだけ巨大産業でありながら、狭い価値観と仲間意識の中にあり、しかも業界団体が一枚岩でもないという、かなり特殊な産業だということをこの4年間で痛いほど学びました。

いくつかの団体さんの中には柔軟な方もいましたけど、そもそも警察庁に業界団体が縛られているし、警察庁は日本の依存症対策の今の動きに、無関心なのか?全く協力的ではありません。

アルコール健康障害対策基本法が出来て、基本計画が都道府県に降りてきた現在、「依存症対策のあり方は地域連携で!」というのが、我々の大きなうねりとなっています。これは地域のリソースを生かして、セーフティーネットを網目のように張り巡らすという方式です。

ところがパチンコは警察庁を筆頭に、業界団体で作っている、「リカバリーサポートでやっている電話相談窓口の充実」と、そのレベルから一向に変わってくれません。常に自分たちが主導で、自分たちが考えだす依存症対策なのです。

日本のギャンブル産業全てがそうですが、そもそも当事者や家族その支援者との話し合いのテーブルにつこうとしません。
そういう姿勢のパチンコがカジノに参入してくるとなったら、これはもう悪夢でしかありません。
果たして、パチンコ産業のカジノ参入を国は認めるのでしょうか?

以上、これら3つはカジノができた場合の、懸念材料であるギャンブル依存症対策に大きな影響がある課題だと思いますので、是非とも皆様方もこれらの点について世論を盛り上げて下さい。政治家の先生方もこの点についてハッキリして頂きたく、宜しくお願い申し上げます。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年3月21日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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