「スタッフのやる気」を高める承認を使いこなすテクニック

2018年03月23日 06:00

写真は書籍書影

「思うように商品が売れない」「人材が育たないし、育ったと思ったら定着しない」「人材募集をかけても人が集まらない」「休みがとれずに休日も仕事をしている」「キャリアパスが見えにくく将来が不安だ」。なかなか厳しい流通業界。将来の見通しがなく、多忙極まりない日々を過ごしている店長は少なくない。

今回は、『店長の一流、二流、三流』(アスカビジネス)を紹介したい。著者は、人材育成などを手がけている、岡本文宏さん。店長として高い実績を上げる一流店長はどんな理由で、どのようにしているのかを解説したノウハウ本になる。

承認を認めるとはどういうこと

「スタッフのやる気」を高めるためには「褒める」ことが効果的であることは、多くの店長が理解している。人材育成の指南書には必ず、その重要性が紹介されており、人を育てるためには欠かせないこととして記されている。

「私自身もアパレル専門店で店長をしていた頃は、頑張って、スタッフを褒めようと努力していました。でも、現場でスタッフの行動をみていると、褒めるどころか、至らぬ点、小言を言いたくなるようなことばかり目についてしまい、結果として褒めることができないという状況になっていました。」(岡本さん)

「なぜ、褒めることが難しいと感じるのか?その理由は、褒めることができるのは、相手の行動や結果が、褒める側の期待値以上であることが条件となるからです。」(同)

求める期待値が高ければ、ますます褒めるチャンスは少なくなってしまう。それでは、スタッフのモチベーションを上げる機会も減ってしまうことになる。

「お薦めなのが、褒めずともスタッフのやる気がアップする『承認』を取り入れることです。承認とは相手の存在自体を認めることで、挨拶、感謝、プレゼント、メールやLINEでメッセージを送る、手紙を渡すなどして、『常にあなたのことを気にかけていますよ』と、言葉、態度、ツールを使って相手に伝えることです。」(岡本さん)

「店のスタッフのモチベーションを向上させるには、常に『承認』のメッセージが受け取れる環境を作ることが必要です。」(同)

岡本さんは、誰もが周りから認められたいという欲求を持っていると解説する。そして、その欲求を満たすための行動を取る。子供の頃は両親、学生時代は先生、社会に出れば(アルバイトなど)、それが上司からの承認を求めることと同じであると。

有能な店長は承認を使いわける

承認を認めることで関係性はより潤滑になる。スタッフはもっと認めてもらいたいと感じるようになり、さらに認めてもらえるような行動を取る。やる気を出して仕事に積極的に取り組むことにつながれば申し分ない。

「具体的に店長ができることとなれば、例えば、毎月、給料日や月末に、スタッフに一筆箋などに、1ヶ月間、スタッフを観察し、その中で気付いたこと、感じたこと、頑張っているなと思ったことを書き留め、手渡していくという方法があります。スタッフが、メッセージを受け取ることで、『店長は自分のことをしっかり見てくれている』『気に掛けてくれている』と実感することができます。」(岡本さん)

「また、お客様からのメッセージはやる気アップするための特効薬です。ある美容室では、施術を行う際、スタッフが『なぜ、当店にお越し頂いているのですか?』とヒアリングを行い、回答をノートに書くという取り組みが行われています。メッセージを読むことで、店長自身のやる気もアップし、スタッフのモチベーションも上がります。」(同)

承認欲求が満たされることで、やる気のスイッチがオンになる。本書は、チームマネジメント、人材育成、店長としてのセールスや接客など幅広く網羅されている。また、現場経験の知見を反映していることからリアルである。問題意識を持っている多くの店長にとって有益なアドバイスになるものと考えられる。

尾藤克之
コラムニスト

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