今月25日の自民党大会を、僕が注目する理由

田原 総一朗

昨年3月の自民党大会(自民党サイトより:編集部)

森友学園をめぐる公文書書き換え問題が、混迷の度を増している。決裁文書の書き換えは明らかになった。だが、いっそう謎が増えたからだ。

なによりも、どうして書き換えねばならなかったのかが謎だ。そして、鑑定価格よりなぜ8億円も安く売られたのか。自殺をした近畿財務局の職員は、書き換えをさせられていたという。8億円の値引きにつながった地中ごみを試掘した業者は、大阪地検特捜部の調べで、実際のゴミの量より多く報告したと証言したようだ。

そもそも安倍首相は、「自分や妻が森友学園に関わっていたら辞職する」と国会で答弁している。だから、このような状況で、野党だけでなく、自民党からも厳しい声があがるのは当然だろう。

こうしたなか、自民党は党大会を開催する。党大会は、毎年1回開催される、自民党全体での重要な会議だ。安倍首相は、憲法改正に積極的だった。だが、いまはさすがに難しいと判断しているようだ。

自民党の憲法改正推進本部の細田博之本部長は改憲条文案を、「大きな方向性を決めて報告する」と語るにとどめ、憲法改正はできないと見られている。憲法改正は自民党の綱領であり、安倍首相の悲願でもある、にもかかわらずだ。

25日の党大会が終われば、自民党内部では、「安倍を守るのか、自民党を守るのか」という声がさらに大きくなるだろう。小泉進次郎議員は、「自民党に対する、国民の信頼を守る方が大切」と言い切っている。党内からも、批判の声が挙がるのは必至だ。

しかし、むしろこうした動きは、自民党にとっていいことだ、と僕には思えるのだ。

自民党がかくも長きにわたり、政権を握ってこられたのは、考えの異なるさまざまな派閥が党内に混在したからだ。だから、党内で批判が生まれ、自浄作用として働いたのだ。

ところがここ数年、「バスに乗り遅れるな」という風潮が党内で強くなっている。せっかくの自民党のよさが失われつつあるように、僕には思えるのだ。

加えて、「安倍晋三」人気のもと、内輪で批判できない空気も生まれた。そんな「空気」のもとで、森友問題が起きたわけだ。

いまこそ、自民党という不思議な党の、自浄作用を見せてほしい。この25日の党大会が、大きなターニングポイントだ。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年3月23日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。