バロンズ:米株の上昇牽引役だったFANG、一点して相場の重しに

2018年04月03日 10:00

バロンズ誌、今週のカバーは日本で違法な大麻=マリファナ関連株を取り上げる。米国ではワシントン州やカリフォルニア州など西海岸を中心に9州で娯楽目的の使用が、29州で医療用目的の使用が認められている。一方で、お隣のカナダでは医療用使用が合法化であるところ、8月頃を目処に国として世界で初めて娯楽目的まで広げる見通し。マリファナ関連銘柄の上昇を支え、直近での時価総額は300億ドルと、金鉱株の半分にまで迫る。アルコール大手コンステレーション・ブランドはカナダ以外の先進国に合法化の波が押し寄せると予想、医療用マリファナ販売大手キャノピー・グロースの発行済み株数の約10%を1.9億ドル相当で取得し、大麻ビジネス参入の足掛かりとする。足元、米国でのマリファナ使用が限定的な状況であるにも関わらず売上は年間500億ドルに達し、ワインの600億ドル、タバコの750億ドルに迫るだけに、他が追随してもおかしくない。その一方で、マリファナ関連株自体は極めて割高で、時価総額は売上高の100倍近く、キャッシュフローの数百倍に及ぶ。今後、関連株がどうなっていくのか、詳細の分析は本誌でご覧下さい。

当サイトが注目するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はハイテク関連に注目する。抄訳は、以下の通り。

FANG株、米株市場の下落招く—The FANG Stocks Bite Back

「何十年も何も起こらない時もあれば、数週間に何十年間分の出来事が起こる時もある」とは、ウラジミール・イリイチ・レーニンの言葉だ。後者の部分にある通り、1〜3月期は数週間で決定してしまったように見える。

ダウなど主要3指数は9四半期にわたって上昇していた通り、年初は上昇あるのみと信じられてきた。まるで、スーパーボウルでニューイングランド・ペイトリオッツが優勝すると思われたように。しかし、皮肉にも強気相場9周年を迎えた3月、株価は下落に転じてしまう。その間の2月には、インフレ上昇懸念などから株価が下落、S&P500のオプション取引によって算出されるVIX指数が急伸し、VIX指数ショート関連の上場投資信託(ETN)が清算に見舞われるなどさらなる混乱を招いた。

2月の下落がテクニカル要因であるならば、3月はハイテク株、特にFANGの安全神話崩壊が引き金を引いたと言える。特にフェイスブックはケンブリッジ・アナリティカへの個人情報流出問題が発覚した3月17日以降、750億ドル相当もの時価総額を失った。機関投資家向け情報サービス会社ストラテガス・リサーチ・グループのワシントンD.C.チームは、フェイスブックだけでなく、グーグルの親会社アルファベットなども規制強化の対象になるリスクを予想する。少なくとも、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が出席する4月10日開催の公聴会で、フェイスブックの将来が決まるのだろう。既にチャート上では変化が現れ、フェイスブックとアルファベットはナスダック100指数のトップ・パフォーマーで、1〜3月期に53.9%高を遂げたネットフリックスの株価を下回る状況だ。年初来からみると、アマゾンの後塵を拝している。

そのアマゾンは、2016年の米大統領選からトランプ氏の標的となっている。ニュース配信大手アクシオスは、トランプ大統領がツイッターでアマゾンの課税逃れを痛烈に批判した後、同氏がアマゾンに”取り憑かれている”と伝えた。

ただし、ストラテガスでワシントンD.C.チームを率いるダン・クリフトン氏は、トランプ大統領の一連の糾弾に「アマゾンに打撃を与える分野、クラウド・サービス事業にほとんど触れていない」と指摘する。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)といえば、国防省のクラウド・コンピューティング契約を一手に引き受けており、取引額は数百億ドルとされ、他ライバル企業はこの状況を批判してきた。またAWSは同社内にとって極めて重要な部門であり、小売オペレーションを支えている。トランプ大統領の非難によりアマゾン株は前週下落したとはいえ、3.3%程度に収まったのはこうした背景が影響しているのかもしれない。

アマゾンのAWS部門の収入、2017年は174.6億ドル也。
aws
(出所:Amazon)

そのアマゾンは、ウォーレン・バフェット率いる運用会社バークシャー・ハサウェイと米銀大手JPモルガン・チェースと共に、従業員向け医療保険会社を共同で設立すると発表した。小売最大手ウォルマートも医療保険会社ヒューマナの買収を検討中とされ、これはドラッグストアのCVSヘルスが医療保険会社エトナに買収案を提示した動きに追随するものだ。医療保険というコストを管理しやすい分野で、効率化を目指す動きと言える。

ハイテク企業の神話崩壊を最も如実に表すのは、配車サービス大手ウーバーの自動運転車が試験走行中に公道で引き起こした死亡事故と言えよう。人工知能(AI)など、期待された新技術の普及を遅らせかねない。電気自動車大手テスラの”モデルX”による衝突事故も、半自動運転機能”オートパイロット”を使用していたとされる。さらにテスラは3月29日、”モデル S”のパワーステアリングの不具合を理由に12.3万台のリコールを発表、同社の株価は1〜3月期に17%沈んだ。テスラの債券価格も急落、流動性懸念から格付け会社ムーディーズはテスラの格付けを”B2”から”B3”ヘ引き下げた。ただ、株式アナリストはテスラが”モデル 3”へ人的資源を投入している事情を踏まえ生産拡大が可能と判断、同社の株価に楽観的だ。なおテスラは、従業員に生産目標台数達成を目指し、”モデル 3”生産にまわるようボランティアを募ったという。

足元、VIX指数は2月5日につけた37を下回って推移しているとはいえ20近くにある。ハイテク関連にあった根拠なき熱狂が後退したことが一因だ。貿易戦争への懸念、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測と合わせ、VIX指数の高止まりにつながっているのだろう。

4月以降も、イベントは盛り沢山で4月も変動が激しくなりそうだ。米株市場にとって、4月は”残酷な月”ではない。ストック・トレーダーズ・アルマナックによれば1950年以降、ダウは4月に46回上昇し、下落は22回にとどまっていた。また”5月に売り逃げろ(sell in May and go away)と反対に、4月30日から11月1日までのリターンは1950年以降で7.6%高に対し、5月1日から10月31日までの0.4%高を大きく上回る。ただし中間選挙を挟む4月となれば話が変わり、ダウの上昇率は平均で0.8%高に過ぎない。

今年はというと、恐らく4月前半は決算期待から上昇するだろうが、後半には連邦政府の法人税納税期日がめぐってくる事情もあり、下落してもおかしくない(筆者注:米国での法人税納付は通常、年度末から4ヵ月後の15日、例えば12月末が年度末ならば翌年4月15日となる)。Fedの政策決定も注目で、年内あと2〜3回の利上げが意識され、米債市場では米2〜10年債利回りスプレッドは0.5%以下という状況だ。過去をひも解けば、米国債利回りは警鐘を鳴らしていると言えよう。


フェイスブックのザッカーバーグCEOが登壇する公聴会は米上院司法委員会が取り仕切り、グラスリー委員長(共、アイオワ州)は、ザッカーバーグCEOだけでなく、グーグルのピチャイCEOのほか、ツイッターのドーシーCEOにも同じ公聴会への出席を要請しています。個人情報漏洩問題がフェイスブックを超えていくのか、この公聴会がカギとなること必至。公聴会開催が”噂で買って、事実で売る”の逆の展開を招くのか否かは別として、同問題がネット広告を収益源とする企業の体制の分岐点となることは間違いないでしょう。悪いことは重なるもので、新規仮想通貨新規上場(ICO)規制の流れも、ネット広告のコンプライアンス問題を炙り出していますからね。

(カバー写真:Roger Schultz/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年4月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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