日本は北朝鮮犯罪の最大被害国

韓国聯合ニュース(日本語版)によると、韓国統一部の白泰鉉報道官は6日の定例会見で、北朝鮮に拘束されている韓国人6人の送還問題について、「南北対話などによって、こうした人道的な事案が南北関係進展の過程で解決できるよう積極的に努力していく」と述べた。

▲拉致問題啓発ポスター(2種類)

▲拉致問題啓発ポスター(2種類)

同報道官の説明によると、拘束中の6人のうち、3人はキリスト教会の宣教師であり、残りの3人は脱北者だという。金正恩労働党委員長の訪中後、中国から北に強制送還される脱北者の数が増えているというから、北で拘束中の韓国人の数はもっと増えるかもしれない。

一方、北には3人の米国人が拘束中という。トランプ大統領と金正恩委員長の米朝首脳会談で北で拘束中の3人の米国人の解放が行われる可能性は濃厚だ。拘束中の米国人は多くは旅行者として入国したケースだろう。

昨年6月解放され、米国に帰国した米バージニア大の学生、オットー・ワームビア氏は観光目的で北朝鮮を訪問し、政治スローガンが書かれたポスターをホテルから持ち帰ろうとして、2016年1月2日に拘束された。裁判で15年の「労働教化刑」を言い渡されたが、昨年、健康悪化が理由で米国に帰国した後、昨年6月19日、地元の病院で死亡した。

米国帰国後、ワームビア君は昏睡状態に陥ったため、北朝鮮が22歳の若い米学生に対し、何らかの細菌やウイルスを使った生物兵器の実験をした疑いがもたれている。トランプ大統領は米学生の死を聞いて、「非人道的な残忍なやり方」といった表現を使い北側を厳しく批判した(「平壌発『米学生の死』の謎解き」2017年6月24日参考)。

最後に、日本の場合、北工作員に拉致されたケースだ。政府広報オンライン「必ず取り戻す!」によると、日本政府が認定している拉致被害者は17人、そのうちの5人は帰国したが、残りの12人は北朝鮮にまだ残されている。北朝鮮による拉致の可能性を排除できない日本人の数は883人(2016年12月1日現在)という。

日朝首脳会談は過去、2度、2002年9月と2004年5月に開かれた。そして両国は2014年、拉致被害者を再調査するという内容の「ストックホルム合意」を締結したが、北は一昨年、一方的に調査の全面中止を通告した経緯がある。

以上、北朝鮮に自国民が不法に拘束され、監禁されている日米韓3国の被害状況を振り返った。米国人と韓国人は旅行や宣教目的で自主的に北に入国したケースが多いが、日本人の場合、自身の意思に反して強制的に北に拉致されたケースで、その犯行状況は一層残虐だ。

いずれにしても、日米韓3国の中で日本人の被害者数は最も多い。日本は北の最大の被害国だ。これだけでも、日本は米韓両国以上に北側に対し抗議できる立場にあるわけだ。

南北、米朝首脳会談も重要だが、日朝首脳会談を早期開催し、安倍晋三首相は金正恩氏に日本人拉致被害者の早急な帰国を要求すべきだ。日本人拉致は父親の故金正日総書記時代に起きた犯罪だ。金正恩氏自身が直接関与していない犯罪行為だから、拉致問題の解決は金正恩氏の決断次第だ。

金正恩氏よ、韓国人6人、米国人3人を首脳会談で送還させたとしても、日本人拉致者の解放がない限り、国際社会は北を犯罪国家として糾弾し続けることを忘れないでほしい。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。