【映画評】ダンガル きっと、つよくなる

2018年04月11日 11:30
ダンガル きっと、つよくなる

レスリングでインド国内チャンピオンにまでのぼりつめたマハヴィルは、生活のために引退し、若手の育成に励んでいた。心の奥底でレスリングをあきらめきれないマハヴィルは、子どもに金メダルをとる夢を託そうとするが、生まれてくるのは女の子ばかり。それでもケンカで男の子をやっつけた長女ギータと次女ハビータを見て、二人をレスリング選手として鍛えることを決意する…。

レスリングに夢を託した熱血漢の父と二人の娘たちの奮闘を描くインド映画「ダンガル きっと、つよくなる」。インドでこんなにもレスリングが盛んだとは知らなかったが、それはさておき。頑固オヤジのスパルタ猛特訓で、姉妹が才能を開花させ、実績を残したのは事実。その実話を踏まえて作られた本作は、涙と笑いのブレンド具合が絶妙で、感動の家族愛・スポ根ドラマに仕上がっている。最初は娘たちに自分の夢を“無理やり”託す父親が暴君に見えるのだが、実は父親の猛特訓は決してエゴではなく、娘たちへの深い愛情ゆえと分かってからは、感動へと一直線に突き進む。姉妹たちも、元来の負けず嫌い。ナニクソ!とばかりに頑張ってしまう姿がこれまた、実に清々しい。

インドの国宝級スターのアーミル・カーンが27kgの体重増減で役者魂を披露すれば、姉妹役の二人(どちらも美人!)も自らレスリングシーンをこなし、ガッツを見せている。父性愛とスポ根だけなら、よくあるストーリーだが、注目してほしいのが、ここにフェミニズムの視点を盛り込んでいることだ。男尊女卑のインド社会では、女の子は家事だけこなし、親から決められた結婚を強いられるなど古い慣習に縛られている。そんな中、レスリングを通して自我に目覚め、成長していく女子の物語は、まさにタイムリーだ。因習も偏見も、悪徳コーチも世界の壁も、この父娘なら、きっと乗り越えられる。出演作を厳選することで知られるアーミル・カーンの作品はやっぱりハズレなし!である。

【80点】
(原題「DANGAl」)
(インド/ニテーシュ・ティワーリー監督/アーミル・カーン、サークシー・タンワル、、他)
(熱血度:★★★★☆)

この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2018年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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