薬学部不要論と薬剤師の研究を指導する薬学部の教員 --- 鈴木 智詞

薬学部は不要と言われれば不要です。旧司法試験のように、薬剤師国家試験の受験資格を薬学部の卒業を要件とせず、中卒なり高卒なりに薬剤師国家試験を受験させて、その合格者を旧司法修習生のようにカリュムカムを組んで、科学実験により得たデータ収集と分析、そして考察。また、病院や調剤薬局店での実務実習を経れば、現行の薬剤師と同等です。

必ずしも、6年制の薬学部を卒業しなくとも、方法を変えるだけで薬剤師は育成出来ます(これは医師も一緒)。

しかしながら、薬剤師は特に病院で臨床研究をしています。その方法論について、研究者である薬学部の教員からの薬学部の学生への指導は必要です。奥歯に物が詰まった言い方を僕はしていますが、たとえ薬学部が不要だとしても、薬学部教員の指導は必要性があると言いたいのです。

薬剤師が臨床研究をして、世の中に何の役に立つのかと言いたい人たちは、薬学のみならず、もともとサイエンスの研究は金持ちの道楽であり、ノーベル賞を取った科学者は、行った基礎研究がたまたま実用化されて、社会に大いなる貢献をした程度であることを理解してください。

そんな科学研究の実態を踏まえて、理系の研究は実用性があるものだけ、日本国の予算を割けば良いと言いたがる人たちの気持ちは解りますが、歴史的に実用化されて社会貢献する元になる研究は、一見、何の役にも立たない基礎研究から産まれている事実を受け入れて下さい。

研究者でも何でもない。ただ薬剤師免許状を持っているだけの、故横山やすし師匠が言うところの、「しょーもない安物のサラリーマン」ない僕にも主張するのを、どうか鷹揚に願います。

鈴木 智詞
中小の調剤薬局、大手ドラッグストア、急性期病院での薬剤師を経て、現在は調剤薬局の店長をしている。