ノーベル賞設立も「遺贈」だった。4月15日「遺言の日」に寄せて

アルフレッド・ノーベル(1833〜1896年、Wikipediaより:編集部)

皆さんは、あのノーベル賞が、ダイナマイトの発明で有名なアルフレッド・ノーベルの遺言によって作られたものであることをご存知でしょうか。

私の遺言執行者によって安全な有価証券に投資された資本で持って基金を設立し、その利子は、毎年、その前年に人類のために最大の貢献をした人たちに、賞の形で分配されるものとする。

「ノーベルの遺言」より

ノーベルの遺言には、そんなノーベル賞についての具体的な内容が書かれていました。

日本弁護士連合会(日弁連)は、4月15日を「遺言の日」としています。

「良い(4)遺言(15)の日」ということで、日本弁護士連合会(日弁連)が全国各地で法律相談や講演会を開催するようになったのが始まりなのだそうです。

故人が遺言を書き、そしてそれが適切に管理されることがなければ、ノーベル賞がノーベルの死後100年以上経った今でも、世界の進歩の象徴として注目されることはなかったかもしれません。

日弁連が4月15日を「遺言の日」としたのも、そんな、故人の想いを後世に伝えていくことの大切さを、相続の現場でよく知っているからではないでしょうか。

遺贈という形で未来を支援したいと考えている方が増えているというニュースも耳にします。実際フローレンスにも、遺産を寄付したいとお心遣いをいただくことが増えています。

今回は、実際に遺産から寄付支援をいただいた方の声を少し紹介したいと思います。

田代 一恵さん(仮名、60代)からは、お亡くなりになったパートナーの田代 隆さん(仮名)から受け取った相続財産の一部を寄付したい、とお申し出をいただきました。

「活動報告やお礼に来る暇があるのであれば、子どもの貧困問題を解決する活動に時間を使ってください」と、隆さんからスタッフにお気遣いのある言葉をいただいてから、9ヶ月後のことでした。

隆さんは生前、フローレンスのひとり親支援に寄付いただいていた方です。

「跡継ぎに多くの遺産を残すと働かなくなったり、よいことはない。最低限を残してあとは寄付にまわしたい」

そう隆さんが残したメッセージを一恵さんがフローレンスへとつないでくれました。一恵さん自身も「子どものために寄付をするのなら、国内の子どもの役にたてたい」という思いがあったそうです。

日本の未来を思うお気持ちともに、相続財産の一部をフローレンスのひとり親支援へ寄付いただきました。

こういった想いを受け取り、次世代を作る子どもたちのために活用していくこと、それがフローレンスの使命です。

田代さんの他にも、故人のパートナー、あるいはお子さんなどのご家族で、故人の想いを汲み、相続財産の一部をフローレンスに寄付してくださった方がいらっしゃいます。

遺贈は、想いを未来につなげること。僕たちはそう考えています。

皆さんは、自分が、あるいは自分の家族や親の想いが、どんな風に未来につながっていってほしいと思いますか?

遺贈による寄付者の方々の想いを伺い、集めたページをつくりました。

未来に向けて、意志を示してくださった方々の声を、ぜひご覧ください。

遺贈(遺言による)や相続遺産の寄付をする理由・寄付者の声


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年4月15日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。