シェアハウス運営会社破綻:注目の「サブリース」とは?

2018年04月22日 06:00

4月13日の産経新聞によると、

女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社が経営破綻した問題で、金融庁は13日までに、物件所有者(オーナー)の大半に購入資金を融資していたスルガ銀行(静岡県)への立ち入り検査に乗り出した。

とのことだ。

全容の解明がなされる前に個別の問題について言及するつもりはないが、加熱する不動産投資に対し金融機関が行う融資について、その姿勢が改めて問われるのは間違いない。今後、この問題が不動産投資に対する融資にどのような影響を与えるのかが気になるところだ。

ただ、今回本稿で取り上げたいのは、破綻したシェアハウスの運営会社が行っていた所謂「サブリース」と言われる手法についてである。

すでに様々な専門家により色々な解説がなされているが少し論点がずれている意見も見受けられるので、ここでは「そもそもサブリースとは?」について考えてみたい。※ただし、ここで取り上げるのは今回の事案ではなく一般的なサブリースについてである。

一般的にサブリースとは、主に不動産(土地・建物等)の所有者から一括若しくは一部を借り上げ、それを第三者に転貸(又貸し)することをいう。

様々な目的でサブリースが行われるが、その性質(目的別)は大きく二つに分けることが出来る。(※節税のためのサブリースは除く)

まず一つは、借主が「転貸そのもの」によって利益を上げる目的のサブリースである。

これは既存建物(中古)・新築に関わらず、オーナー側は賃料収入の安定確保及び管理の煩わしさから等から逃れるために「市場相場より低い賃料」であってもそれを理解したうえで転貸目的の借主に借り上げてもらうものだ。

この場合、借主は自ら建築費(不動産取得費)を出資しなくとも賃貸事業を開始することができるメリットがあるが、当然、空室リスクを負うことになる。

もう一つは、サブリースが別の目的の為の「サービス」あるいは「保証」としての性質を持つものである。

代表的なものは「建物建築工事を受注する目的」の為に事業者(受注者側)が土地オーナーに建物完成後の借り上げを保証するものだ。土地オーナーは将来に渡る賃貸収入の見込みが立つばかりでなく、煩わしい賃貸管理からも解放されるのでそこに大きなメリットを感じる方も多いだろう。また、既存建物・新築に関わらず、収益型の投資物件(一棟アパート・マンション、マンション1室等)の販売促進の為に事業者(売主、販売業者等)がこのサブリースを物件購入とセットにして消費者に提供されるものがあるが、その趣旨は上記のものと同様である。

ここで触れておきたいのはサブリースにはそれを「直接的に規制する法律が無い」ということである(※間接的には有るがここでは触れない)。

まず、サブリースには、不動産取引等についての様々な規制を設けている「宅建業法」が適用されない(※売買を伴う場合は一部適用される場合有り)。

宅建業法が適用されるのは「宅地または建物の売買又は交換、売買、交換、賃借の代理又は媒介を業として行うもの」であり、「自らが貸主」になる一般的なアパート・マンション経営もその管理も宅建業には当たらない。つまりオーナーから建物を借り受け、それを第三者に貸し付ける者(転貸者)の立場も上記の「自らが貸主」に該当するのである。

国土交通省では、2011年から任意の登録制度として「賃貸住宅管理業者登録制度」を実施し、サブリースを含む賃貸住宅管理業の遵守すべきルールを設け、登録業者はこのルールを守らなければならないとしている。しかし、この文中のとおり賃貸住宅管理業者登録制度への登録は「任意」なのだ。
(参考 国土交通省HP 賃貸住宅管理業者登録制度Q&A

もちろん国土交通省もサブリース契約についてのトラブル事例を充分に把握し、注意点等も公表されている。あまり認知されてはいないが実は以前から、国土交通省では消費者庁と連携し、サブリースに関するトラブルの防止に向けて注意喚起を促している

その一例としては、「30年一括借り上げ」と謳われていても、サブリース業者側から契約期間中に解約される可能性があること、賃料の減額を要求される可能性があること、賃料維持の為の修繕費・各種税金の負担があること、融資金額の返済計画を含めた事業計画のリスクを理解しているか等だ。
(※参考 国土交通省HP「報道・広報」

サブリースは、それぞれの関係者がそれぞれの目的をもって「健全に」運用・機能すればとても魅力的で合理的な手法かもしれない。しかし消費者側にとって、現時点ではそれを直接的に規制する法律が無いことや、上記で触れたような契約条件の変更等の可能性も顕在していることを理解したうえで活用しなければならない。

忘れてならないのは、いずれのサブリースもオーナーと借主(転貸者)間の賃貸借契約における賃料設定は「市場の相場より低い賃料」でなければ「健全」ではないということだ。

現在、サブリースを利用している若しくは利用を予定している場合は市場をしっかり調査し、その結果、サブリースの借り上げ賃料が「相場より低く設定されているか」を不動産投資家の方々だけではなく、そこに融資を行う金融機関の方々も、もう一度チェックしてみるべきだろう。

あまりに当然だが、サブリースとは「安く借りて高く貸す」ことが出来なければ、そもそも事業として成立しないのである。

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