日銀による国債買入額の修正の可能性

今年に入ってからの日銀による国債買入額の修正について、振り返ってみたい。

1月9日の国債買入において日銀は残存10年超25年以下の買入額を1900億円と前回の2000億円から減額し、残存25年超も800億円と前回までの900億円から減額した。これは市況環境によるものというよりも、2018年度の国債発行計画でこの超長期ゾーンも含めて発行額が減額されるため、早めに手を打ってきたとの見方もできた。

1月31日の国債買入において日銀は3年超5年以下について前回の3000億円から3300億円に300億円増額した。欧米の長期金利上昇を背景に日本の10年債利回りが0.1%に接近したことにより、この利回り上昇を抑制することが目的で増額したとみられる。

2月2日の東京市場では欧米の長期金利の上昇を受けて、10年債利回りが0.095%まで上昇し0.1%に接近した。これに対し日銀は国債買入で5年超10年以下を4500億円と400億円増額した上で、指し値オペも10年債のカレントで0.11%の水準でオファーした。

2月28日に25年超の国債買入額を700億円とし、100億円減額した。債券相場が戻り基調となり、イールドカーブのフラット化が進んでていたことでの修正というのが理由かもしれない。しかし、市場では大手機関投資家の意向があったとではとの観測も出ていた。

4月27日現在で、日銀による国債買入は残存期間1年超3年以下が2500億円、3年超5年以下が3300億円、5年超10年以下が4500億円、10年超25年以下が1900億円、25年超が700億円となっている。27日に日銀が発表した「当面の長期国債買い入れの運営について」では、5月の1回当たりのオファー額レンジ、買い入れ回数ともに、全ゾーンで4月から据え置かれた。

新年度入りしたことで、4月から国債の発行額はカレンダーペースで20年債以外は減額されている。日銀はこれに備えていたとみられるが、それでも例えば5年超10年以下は2月2日に増額した4500億円のままとなっており、このゾーンなど主体に今後の需給の逼迫も予想されることで、タイミング次第では今後の減額の可能性はありうるか。

外為市場でドル円が反発基調となってきていることで、為替市場の動向からみて減額はやりやすくなってはいる。トレンドが円安となっていれば、国債買入の減額による影響は一時的となる可能性がある。ただし、ドル円の上昇に合わせて米国の長期金利も上昇してきていることで、日本の長期金利も上昇してくる可能性もあることで、特に5年超10年以下の減額は難しい面もある。為替市場では細かな買入額の調整でも動くときは動くだけに、減額があるとしてもそのタイミングを見定めるのもなかなか難しくなりそうである。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年4月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。