北京学生映画祭に入選:教え子が贈ってくれた素敵なプレゼント

4日、北京師範大学で行われた第19回北京大学生映画祭オリジナル映像作品コンクールの受賞発表会に出かけた。今年で25年を迎える北京大学生映画祭の目玉イベントで、大学生向けでは非常に権威のあるコンクールだ。昨年の日本取材ツアーで4年生女子学生の制作したドキュメンタリー・フィルム「師村妙石的人生之旅」(Life of Shimura)がドキュメンタリー部門で入選し、この日は学生と一緒に、指導教師として招かれた。

各部門とも、受賞は最優秀賞の1作のみ。ドキュメンタリー部門では、卒業作品として1年をかけたという北京電影学院の学生による作品が選ばれた。レベルの高い作品が集まった中で、専門性では見劣りするわが大学の学生が奮闘し、入選できたことは素晴らしい。日本大使館の好意で、同大使館の微博(ウェイボー)で作品の入選が紹介された。日中の橋渡しができ、非常にうれしかった。

実際に足を運んでみて、彼女は全国の厚い壁を感じるとともに、大きな励みにもなった。はるか遠くにあると思っていた世界が、手の届くのところにあることを知り、自信を得たようだった。「またチャレンジする」と前向きに話していた。夢を抱き続けることに意義がある。

夜は三里屯の串焼き屋でお祝いの会を開いた。北京のメディアで働く汕頭大学の卒業生2人、実習中の4年生、そして、私の北京時代の若い仲間も含め計14人が集まった。かつて一緒に日本語の本を翻訳し、中国語版を出版した日本留学組の仲間が中心だ。みなが彼女にお祝いと励ましの言葉を贈ってくれた。得難い気持ちを分かち合いながら、旧交を交わすことができたことに感激した。至福の時が流れた。

めったに参加のできない授賞式に同席できたこと、そして何よりも、日中の旧友との温かい再会の場を作ってくれたこと。思いがけない、素敵な贈り物をしてくれた学生に対し、ありがとうの言葉を返したい。

柳絮が鼻をくすぐる北京の1週間だった。物価が高く、競争の激しい首都で、厳しいメディア環境の中、理想を追い求め、歯を食いしばって奮闘する卒業生に会い、頼もしく感じた。ほとんど休みがないという卒業生とは、天安門で待ち合わせをし、景山公園まで歩いた。私は1980年代の留学時代、1人で景山公園の山に登り、夕日を受けて黄金色に輝く瑠璃瓦を望みながら自分の将来を案じた。そんな思い出を語りながら、自分の道を手探りで歩むことの意義、大切さを伝えた。

彼女たちにはもちろん、深い悩みもある。それでも乗り越えていこうとする気持ちを持っていることが尊い。私の若い旧友たちが、学生たちの人生の先輩として、温かい目を注いでくれたことにも感謝したい。

大学に戻ると、すぐに悩みを抱える学生が訪ねてきた。また気の抜けない生活が始まった。明日は、入選した学生を補講授業に招き、作品を一緒に鑑賞しながら経験を分かち合う場とする予定だ。


編集部より:この記事は、汕頭大学新聞学院教授・加藤隆則氏(元読売新聞中国総局長)のブログ「独立記者の挑戦 中国でメディアを語る」2018年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、加藤氏のブログをご覧ください。