LGBTをめぐる内外逆差別:レインボープライドパレードに参加して

7日に、東京レインボープライドパレードに参加してきました。

今や渋谷の名物イベントとなり、毎年参加していると、街を歩く人たちのパレードに対する視線が温かくなっていることを実感します。SOGIハラを無くす一番の近道は、当事者の友達をつくることです。大盛況となったパレードは、その絶好の機会になったと思います。

パレードには、LGBT問題への取り組みを始めた多くの地方自治体(その先頭を走っているのが渋谷区です)、企業、大学のグループなどが参加していました。一方で、国の動きは依然として鈍い。国会議員として責任を感じています。

今年は、例年を上回る多くの国会議員が、与野党を超えてパレードに参加していました。オリンピック憲章には、「性的指向による差別の禁止」が明記されています。このパレードで弾みをつけて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、LGBT差別解消に向けた法案を何としても成立させたいと思います。

あまり知られていないのですが、実はLGBTを巡っては、数年前から、内外逆差別の問題が生じていることを、多くの皆さんに知ってもらいたいと思います。昨日のパレードの中でも、私にそのことを指摘してきた人がいました。

昨年、河野外務大臣のイニシアティブで、天皇誕生日の祝賀レセプションや外務省行事において、法律婚・事実婚あるいは同性、異性にかかわらず、配偶者またはパートナーとして接遇されることになりました。大臣の発言を受けて、総理も「首脳の同性婚相手がパートナーとして来日された場合は、総理主催の夕食会にはお越しいただければと考えている」と答弁しています。

このことによって、先進国の中で遅れているわが国のLGBT問題への対応が前進しました。率直に評価したいと思います。その一方で、外国人と日本人との間で、内外逆差別が生じています。

平成25年(2013年)10月18日の法務省の通達(法務省管在第5357号)により,外国で有効に同性婚をしている者については人道的観点から「特定活動」による入国・在留資格を認められるようになりました。現在、同性カップルを伴ってわが国に入国している大使館員、米軍人、ビジネスマンが数多く存在しています。

それに伴って、外国人の同性配偶者は、住民票に世帯主の「縁故者」と表示されるようになりました。妻・夫などの続柄の表記にはなっていませんが、外国人の同性カップルは世帯として法的に認められたのです。要するに外面だけは、良くなったのです。

一方で、外国人と海外で同性婚を行った日本人については、対応が異なります。そうした日本人がわが国に帰国する場合、外国人の同性配偶者が「日本人の配偶者等」に当たらず、「特定活動」による入国・在留資格も認められていません。

そのため、同性配偶者が日本国内で留学するなど、別の在留資格を得ない限り、わが国に滞在することができません。

仮に、別の在留資格を得てわが国に滞在することができた場合も、住民票には世帯主の「縁故者」ではなく「同居人」と表記されます。ちなみに、日本人同士の同性カップルについても同様ですから、外国人の同性婚カップルに限って、特別に世帯として認められていることになります。

海外で活躍する日本人ビジネスマンの中には、配偶者のわが国での滞在が認めらないことが原因で、帰国を躊躇する例が出てきています。こうした例は、今後も増加することが予想され、経済のグローバル化の観点からも見過ごせない状況です。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目の前に控えて、LGBT差別解消法の制定は正念場を迎えています。並行して、最低限、理不尽な内外逆差別については、早急に解消しなければならないと考えています。


編集部より:この記事は、衆議院議員の細野豪志氏(静岡5区、無所属)のオフィシャルブログ 2018年5月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は細野豪志オフィシャルブログをご覧ください。