ポンペオ米国務長官の動向が原油価格や米長期金利、ドル円に影響、イランや北朝鮮問題に関わる

2018年05月10日 11:30

解任されたティラーソン米国務長官の後任となったのが、ポンペオ米中央情報局(CIA)長官である。ポンペオ氏は陸軍出身で、2010年下院選で保守派草の根運動「茶会」(ティーパーティー)の支持を受けて当選した。

強硬派として知られ、下院議員時代にはイラン核合意の破棄を主張していた。また、北朝鮮の体制転覆に含みを持たせたこともあった。ティラーソン国務長官が突然解任されたのも、北朝鮮に対して強硬路線を貫くためではとみられていた。

ところが、そのポンペオ氏がCIA長官だった今年3月末~4月初頭に極秘訪朝していたのである。史上初の米朝首脳会談のお膳立てをしたのは韓国の文在寅大統領であったかもしれないが、対北朝鮮強硬派であったはずのポンペオ氏も大きく関与していた。

トランプ大統領は8日、ホワイトハウスで記者団に対し、ポンペオ国務長官を米朝首脳会談の準備のため北朝鮮に派遣したことを明らかにした。46年前の1971年に米中和解の道筋をつけたキッシンジャー大統領特別補佐官のような役割を演じているようにも思える。

史上初の米朝首脳会談が成功するとなれば、北朝鮮リスクが大きく後退することになる。北朝鮮の核開発やミサイル試射によって北朝鮮の地政学的リスクが意されて安全資産として買われていた米国債は、戻り売りに押されることになり、米10年債利回りは3%台に乗せる場面があった。

そして、今度はイランの問題がここにきて再燃した。これにも当然ながらポンペオ国務長官の影響が及んでいると思われる。トランプ大統領は8日、イランと欧米など6か国が2015年に締結した核合意から離脱し、対イラン経済制裁を再開すると発表した。

イランの核開発問題とは、イランが自国の核関連施設で原子爆弾の製造のために高濃縮ウランの製造を行っているのではとの疑惑である。これに対して2015年にイランは、米英仏独中露の6か国協議で、核開発施設の縮小や条件付き軍事施設査察などの履行を含む最終合意を締結した。その代わりに、経済制裁を解除するという内容だった。

米国がイランへの経済制裁を再開するとなれば、中東の地政学的リスクが高まることも予想されるが、それ以上にイランからの原油の供給への影響も危惧されている。米国が対イラン経済制裁を再開するとの懸念から、原油先物価格は上昇しWTIは70ドルの大台を回復させた。

北朝鮮の地政学的リスクの後退によるリスク回避の巻き戻し、原油価格上昇による物価への影響から、米国債利回りには上昇圧力が掛かる可能性がある。米10年債利回りは3%台に乗せたあとイラン問題でリスク回避の動きからいったん買い戻されたが、原油価格の上昇から再び3%台に乗せてきた。そうなれば日本の長期金利は日銀に抑えられていることで、日米金利差の拡大を受けて、外為市場ではドル円の上昇要因ともなりうる。ドル円の110円台乗せや、米長期金利の4%に向けた上昇といったことも想定される。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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