「富士山会合」など:違和感を覚えた柳瀬答弁

石破茂です。
連休前半の訪米は、自分の考えを整理する良い機会となりました。

日経「富士山会合」主催の、スタンフォード大学フーバー研究所における長時間にわたるディスカッションも有意義なものでしたし、シュルツ元国務長官(レーガン政権)、ペリー元国防長官(クリントン政権)のお話も示唆に富んだもので、お二人とも90歳を超えているとはとても思えない明晰ぶりでした。

ご一緒した森本敏先生や田中明彦先生から啓発されたことも多くあり、充実した二日間を過ごすことができたことを有り難く思っております。テーマが多岐にわたったため、拡大抑止の強化や地位協定の改定などの各論に深く話が及ばなかったことは少し残念でしたが、またこのような機会を得たいものだと思ったことでした。

10日の衆議員予算委員会における参考人質疑は、やや後味の悪いものでした。

柳瀬元総理秘書官の「官邸にいると世間の感覚とずれてしまうので、面会希望があった人にはすべて会うようにしていた」「東大元教授が滔々と話していたので、愛媛県や今治市の関係者がいたことは認識していなかった」などとする答弁や、「石破四条件」を何度も口にしたことには相当の違和感を覚えましたし(国家戦略特区として認定する際の四つの条件は、平成27年6月30日に日本再興戦略2015改訂版として閣議決定されたもので、「安倍内閣四条件」と言うべきものです。一人の大臣の意向では閣議決定はできません)、八田国家戦略特区ワーキンググループ座長は国家戦略特区の意義について延々と語って質疑時間を消化してしまうなど、相当の混乱ぶりが見られました。真実を解明する、という安倍総理の意向が実現されるべく、さらなる努力が必要です。

週末は、12日土曜日に自民党鳥取県第一選挙区支部主催街頭演説会(午前11時・鳥取駅前、午後1時半・倉吉駅前)、自民党鳥取市国府町支部通常総会(正午・交流サロン一の宮)。

13日日曜日は「激論クロスファイア」出演(午後6時・BS朝日・収録)、「賢者の選択」(午後8時・BS12・収録)という日程となっています。残余の時間は資料読み込みと整理に充てたいと思っております。

雑誌も含めれば一週間に30冊ほどの本が送られてくるのですが、とても読み切れないままに山と積まれる状態が続いております。読むほどに自分の知識不足を痛感しますし、原典に当たらないで引用などすると正確性を欠くことになりますのでこれを取り寄せたりしていると時間がいくらあっても足りません。

高校生や大学生の諸君を相手にお話しする際に、読めるときにいろいろな角度からの本を読んでおきなさい、とよく申し上げるのですが、私の本音であり、実感です。

様々な角度からの情報に触れることなく、自分好みの情報にのみ接し、違う考えを持つ人やメディアにレッテル貼りをして口を極めて論難・罵倒する一部の風潮には空恐ろしいものを感じています。いつから日本の言論空間はこのように歪になってしまったのでしょうか。

かつての論壇誌「諸君!」(文藝春秋刊・現在は休刊中)のような、静かな中にも深みのある保守の思想を体現する活字媒体を懐かしく思い、その登場がより多くあることを渇望しています。

木曜日までは肌寒さすら感じられる連休明けの都心の一週間でした。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年5月11日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた石破氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。