女性候補者が増えると選挙が変わり、女性議員が増えると政治が変わる

「『男女候補者均等法』が単純にジェンダーの話に留まるのではなく、こうした我が国の『選挙事情』『政治的風土』改善の話しにまで広がり、議論が喚起されることを願ってやみません。」

そう音喜多さんが書いていたので、いわゆる男女候補者均等法について言及しておく。

候補者の数だけ男女均等にするという目標を掲げても、選挙や日本の政治的風土が変わらなければ、女性は実際にはなかなか立候補できない。まずは、選挙を変えましょう、日本の政治的風土を変えましょう、という音喜多さんの呼び掛けは、まあ、そのとおりかな、と思っているが、私は、その一方で、女性の候補者が増えれば必ず選挙が変わるはずだ、と信じているから、とにかく女性の候補者をどんどん増やすことに賛成したい。

大した選挙活動をしなくても女性の候補者がどんどん当選するという事態にでもなったら、旧態依然とした選挙運動をして辛うじて当選した人たちも選挙運動の仕方を考えるはずである。

かつてのおたかさんブームや昨年の都民ファーストの選挙などを見ると、それほど大した選挙運動をしなくても、女性の新人候補者だということだけで相当の得票を上げて当選している。
どぶ板を這いずり回るような選挙運動をしてきた人たちは、碌な選挙運動をしなくても当選してしまう女性の候補者の選挙運動を見てしまうと、今までのような労多くして功が少ない選挙運動をするのがきっと馬鹿らしくなる。
二期、三期と当選を続けるのは難しいだろうが、それでも女性の候補者が大量に立候補し、当選するようになると、選挙の常識が変わる。

まずは、政党として有権者に対して好感度の高い女性候補者をどれだけ擁立出来るか、という問題になるが、探せばあちこちにいるはずである。

声が掛からなかったから表に出なかっただけで、各政党が本気で探せば結構な人数の人が集まるだろうと思っている。

それぞれの候補者については、

①有権者に的確なアピールが出来るような広報宣伝活動が出来るか

②有権者の本当のニーズに応えることが出来るような政策提言能力があるか

③有権者を自分の陣営に組み込むだけの組織力なり実行力を有しているか

などが問われることになるが、まあ、この程度のことであれば一般の方々もそれほど苦労しなくて突破出来るはずである。

供託金を引き下げたり、ポスターの公営掲示板への貼り付けを一括して選挙管理委員会なり選挙管理委員会の指定業者に公費でもって行わせる等の措置を講じて女性の選挙参加のハードルを思いっ切り引き下げれば、どの政党であってもそれなりの数の女性候補者を確保出来るようになるはずだ。

候補者男女均等法の施行で、事実上の男性優位社会で多くの男性が享受してきた様々の既得権の本格的な見直し作業が始まるだろうと私は思っている。

自民党の一部では、事の重大性に気付いて、あ、しまった、ちょっとやり過ぎたかな、などという声が上がってくるかも知れないが、全会一致で候補者男女均等法が成立したのだから、もはや簡単には引き返せない。

日本大改革の、始まり、始まりー、と言ったところか。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。