女性議員比率先進国最低の国で最低の政党と都道府県は

2018年05月22日 07:00

「男女候補者均等法」可決で女性の政治参画はどう変わるか

5月16日、政治においてもより女性の声を反映させようと「男女候補者均等法」が参議院本会議にて全会一致で可決しました。

国会や地方議会の選挙において、男女の候補者の数が「できる限り均等」になるよう目指す事とされており、各政党は候補者数の目標を定めるなど実現に向けて自主的に取り組む事が、努力義務として定められています。
前段で法案を一本化するために行われた与野党協議では、与党案の「できる限り均等」と野党案の「できる限り同数」は法的には同義である事なども確認されましたが、具体的な数値目標を示す事には政党によっても温度差があるのが現状です。

欧米などこの分野の先進国を見ても、罰則規定もなく強制力のある具体策を持たない理念法で、どれだけ現実的に効果が出せるのかが問われる事になりそうです。

少なくとも全会一致で賛同した各政党には責任があり、まずは来年行われる統一地方選挙と参議院選挙に向けての各政党の姿勢や対応に注目しましょう。

法律自体は政党の候補者選定に対する義務付けですが、掛け声だけではなく実態として、この事をきっかけに女性活躍が政治の世界にも反映されるかが重要であり、来年の2つの選挙における女性有権者の行動も非常に重要になってきます。

一方で、3年前の2015年に、女性議員や若手議員の問題がたび重なった事を受け、『最も女性が少ない議会はどこか? 女性政治家比率都道府県ランキング』というコラムを書きました。

今回の法律で義務付けられているのはあくまで候補者の数でしかありませんが、その先の女性議員の数や、さらに女性議員の質を高めて行く仕組みについても今後は各政党などに求められて行く事になりますし、有権者の皆さんにもそれを見極める目が求められて行く事になるのではないかと思います。

女性議員比率、日本は158位。地方議会はさらに切実

2018年4月現在の日本の国会における女性議員の割合は衆議院で10.1%、参議院で20.7%、列国議会同盟の各国下院の調査では世界193カ国中158位と、政治の世界においては国の掲げる「女性活躍社会」とは程遠い印象を受けます。

それでも2017年10月の衆院選では47人の女性議員が当選し、政権交代が行われた09年の11.3%に次ぐ高い水準となってです。

世界の中で大きく遅れている事が分かります。
「女性議員を増やそう!」といった掛け声やスローガンも大事ですが、実際のデータに基づく課題分析による解決策の構築も重要に思います。

地方自治現場における女性議員の割合は、2016年時点ですが、都道府県議で9.9%、市区町村議で12.9%となっており、国会以上に切実です。
法改正後最初の舞台が来年4月の統一地方選挙である事からも、今回は特にこの統一地方選挙のデータを元に、女性議員割合を改善して行くための現状と課題について考えて行く事にしましょう。

図表: 統一地方選挙における女性当選者割合の推移

図表は、統一地方選挙における女性当選者の割合の推移を示したものです。
最も近い統一地方選挙が2015年になりますが、その際の女性当選者の割合は、都道府県議が9.1%、知事が10.0%、市区町村議が15.0%、市区町村長が1.8%となっています。

統一地方選挙が始まった1947年時から比較すると、都道府県議は0.9%から10倍、市区町村議は0.4%から市区町村長は0.0%からそれぞれ37倍、知事に至っては1人もいなかった事を考えれば隔世の感さえあります。

こうした長いスパンで見た場合には、日本における女性の地方政治家も80年代からどんどんその割合は増えており、特に2000年を過ぎてからはこれまで以上にその増え方が加速している事が分かります。

今回、「男女候補者均等法」が施行され最初の大型選挙が統一地方選挙になりますが、これによってどうなって行くのかという「結果を見てみないと分からない」ではなく、選挙結果においてもどれくらいの結果を目標にして行くのかによって求められる対策は異なって来るように思います。

都道府県議や市区町村議の中で女性議員が増え始めた1983年から2015年までの約30年で、その割合は約8倍に増えています。
「男女候補者均等法」によってこの成長曲線がどのように変わって来るのかも楽しみです。

女性当選者割合が最も高いのが共産党、次いで諸派、公明党…

図表: 政党別女性当選者数とその割合(2015年統一地方選挙)

今回の「男女候補者均等法」では特に政党ごとの取り組みが重要になってくるため、現状の政党ごとの状況についても統一地方選のデータで共有しておく事にしましょう。
女性当選者の数が最も多いのは無所属です。

市長や知事など首長においては政党公認ではなく無所属で出るのが一般的に知られているかも知れませんが、地方政治の場合、議員においても地域代表などとして擁立されるケースも多い事などから実態として無所属で立候補するケースが多くなります。

今回のデータをあらためて見ても、女性議員においても同様に無所属での当選が多い事が分かりました。
ただ一方で、割合で見ると大きく異なり、女性議員割合が最も高かったのは共産党でした。
2位が諸派、3位が公明党と並びました。

公明党、共産党は女性議員が多い印象を持っていましたが、数字で見ると、意外にも公明党は都道府県議レベルでは少ない事なども見えてきました。

また同じ様に女性議員が多い印象もある社民党は逆に都道府県議では健闘しているものの市区町村議員を含めるとむしろそうでもない事も分かります。
この傾向は民主党も同じでした。

逆に想定通りなのは自民党における女性議員の割合の少なさでしょうか。
こうした意味でも女性議員割合を増やして行くためには、基礎自治体レベルにおける自民党や保守系無所属においてどう増やして行くかという事が大きな課題になりそうだとも言えます。

女性議員割合の高い都道府県は東京、千葉、埼玉

図表: 都道府県別女性当選者数とその割合(2015年統一地方選挙)

女性議員の割合は地域によっても変わってきます。
統一地方選挙のデータのない自治体もありますが、市区町村議員において最も女性議員の割合が多かったのは東京都の28.3%、次いで千葉県の21.5%、埼玉県の21.0%でした。

1/3近くを女性が占める自治体がある一方で、鹿児島県には4.5%しかいないという現状もあります。
地域で見ても九州を始め四国、北陸などで女性議員割合の低い自治体が目立ち、関東や近畿に高い自治体が多いという傾向も見えてきます。

都道府県議においては少し状況が異なり、1位が京都府の20.1%、2位が滋賀県の18.2%、3位が神奈川県の16.2%までは近畿と関東ですが、4位に秋田県、5位に北海道が入りました。

都道府県議会ではまだまだ女性議員は少なく、1人しかいないという自治体も多くあります。
今回の「男女候補者均等法」を受けて、各政党本部は勿論ですが、各政党の都道府県組織がどうこれまでと異なる判断や取り組みが行えるかについてもチェックして行く必要があるのではないでしょうか。

現職が既にいる組織はなかなか現職を下ろして差し替えるという事ができない事を考えると、目標となる候補者の「できる限り同数」を女性にするという目標のためには、数字上は新人は全て女性にするといったぐらいの取り組みをしなければ実現できません。

その意味でも特に現職の多くいる政党にとっては実際にはかなり難しい目標であると言えます。
各政党の本気度が試されそうです。

ただ、「女性議員なら誰でもいい」、「単に数字上の比率が高くなればいい」という事でもないようにも思います。

「これまでの政治を変えてくれる人に議員になってもらいたい」という有権者も一定の割合でいるかと思いますが、これまでの政治家と異なるタイプの候補者であれば誰でもいいという事ではありません。
地域の抱える政治課題の一つとして今回の問題提起も捉えていただきながら、さらに地域をよくしてくれる人材とはどういう人材なのかと考えてもらえればありがたいです。

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高橋 亮平
一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長

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