中身のない人間はファーストクラスに乗ってはいけない

2018年05月25日 06:00

写真左が小林さん。『徹子の部屋』(テレビ朝日)HP。

「過去を嘆いても過去は変わりませんが、未来はこれからいくらでも変えていくことができる」、「歳をとればとるほど、笑顔は大事。笑うと『モテ期』がやってくる」。仕事で落ち込んだときや辛いとき、読むことで前向きになれる書籍が話題を呼んでいる

今回は、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)を紹介したい。著者は、美容研究家・メイクアップアーティストとして活動する、小林照子さん。83歳にして現役のメイクアップアーティスト、美容業界歴は63年の大ベテランになる。

3月に放映された、『徹子の部屋』(テレビ朝日)では、美しい肌を保つ秘訣を公開し話題になった。実年齢を感じさせない若々しさにも、注目が集まっている。本稿では、書籍内の一部を引用しながらルポ記事風にお送りしたい。

あなたはファーストクラスに相応しいか

いまや、大成功を収めている小林照子さんだが、会社員時代に人にお金を貸して踏み倒されてしまった苦い経験もある。どのような状況だったのか。

「その方はかつてあるボランティア活動でごいっしょしていた方でした。その方がある日突然、私に電話をかけてきて、『ねえ、お金を貸して。今日、どうしても必要なの』と言うのです。びっくりしきたが、無下に断ることもできず、言われるまま、私にとっては大きな金額を貸しました。しかし結局、その方の会社は倒産します。」(小林さん)

「私のほかに2人、その方にお金を貸していたようです。私たちは公証役場に行き、貸したお金をきちんと返してもらえるよう、公正証書をつくってもらいました。お金を貸した私たち3人はふつうの装い。しかしそこに現れた借主は、全身ブランドずくめです。もう、滑稽でした。その女性は目をショボショボさせていました。」(同)

借主は次のように続ける。「ごめんなさい、ほんとうにごめんなさい。でも小林さん、あなた、お人好しだから悪いのよ。私、あなたに電話をかけたとき、背後でこわい人に脅されていたの。あなたが断ってくれると思いながら電話していたのよ。小林さんが、あのとき断ってくれたらよかったのに」。しかし、その後、お金が返済されることはなかった。

「がんばって成功すると、人は見栄を張りたくなる時期もあると思います。高価な服、高価なバッグ、高価な車。高級住宅街にある住居。いろいろなものがほしくなる時期。でも、私はこう思います。『中身がファーストクラスでない人間が、ファーストクラスに乗ってはいけない』。身についていない豪華なものは浮いて見えるものです。」(小林さん)

「そのときの本人の中身がついてきていないからです。それをいくら無理して維持しようとしも、生活が破綻するのはあたりまえです。破綻しても豪華なものにしがみつこうとすると、あとは中身が腐っていくだけです。」(同)

小林さんは次のようにも述べている。人は徳を磨いていくのには時間がかかるが、地に堕ちていくときは一瞬である。年齢とともに磨いていかないといけないのは、見栄を張れる車や靴やバッグではない。人間の中身、つまり誠実さである。それが磨かれていけば、外見で見栄など張る必要は無いと。

これからの人生を生きるヒント

最後に、本書の読みどころについて解説したい。構成は非常にシンプルである。本のカバーはパールの上質紙を使い、本文用紙も手触りがよく、上品な雰囲気がただよっている。他の書籍とは一味違う大切な本に仕上げたいとする、出版社と筆者の思いが感じられる。

また、本書は比較的年配の読者を想定し、質感を高めるためにハードカバーを使用している。ハードカバーとは、固いカバーの表紙でおおわれた単行本のこと。ハードカバーは表紙がしっかりしているのでキレイに保存できる。読者は保存しながら何回も読み直すことができる。本文は縦組みで「ひらがな」が多く読みやすい。

「人生はなるようにしかならないのだから自然体で過ごすのがいい」、「過去が今の自分をつくっているのではなく、今の自分が過去をつくっている」。このメッセージを、読者はどのように受け止めるのか。もし、5月病などのストレスで苦しんでいる人がいたらおススメしたい。83歳で活躍する、小林さんの「人生訓」はハンパじゃない。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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