「2040年に社会保障費190兆円」で格差は拡大する

池田 信夫

政府は5月21日、2040年までの「社会保障の将来見通し」を初めて発表した。それによると社会保障給付費の総額は、名目成長率を1%台とした場合の「ベースライン・ケース」で、2025年に140兆円、2040年に190兆円になる見通しだ。

・・・と書いても数字が大きすぎてピンと来ないだろうが、2040年には人口が1億人に減る一方、「団塊ジュニア」が引退して高齢者の数がピークを迎える。人口の約4割が、65歳以上になるのだ。それは想像しにくいが、確実に来る未来である。

2040年に消費税率は30%になる

次の図は、経済財政諮問会議に提出された政府の見通しだ。これによると2040年の社会保障給付費は「計画ベース」で190兆円(GDP比24%)になり、そのうち年金が73.2兆円と最大で、医療費が68.5兆円。伸び率が大きいのは介護で、今の2.5倍になる。

政府の見通しはこれまで経済学者が計算した数字と大きくは違わないが、「社会保障給付費がGDP比で現在の21.5%から2040年には24%に上昇する」というのは楽観的だ。この計算の前提になっているのは、名目GDP(国内総生産)が2040年に790.6兆円になるという予想だが、これは2025年の成長率を1.8%と仮定するものだ。過去20年の名目成長率は平均0.3%である。

もう1つの問題は財政負担である。政府の見通しによると今は46.9兆円の「公費負担」は、2040年には80.3兆円に増える。この負担増33.4兆円をすべて消費税でまかなうには6~8%ポイントの増税が必要だ。政府の計算でも、消費税率は18%まで上げなければならないのだ。

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