子供が減っているのに不登校がなぜ増えるのか

2018年05月28日 06:00

子供の数が急減している中、不登校の児童生徒が増加しているそうです。不登校が社会に認知されて、学校以外の学習の場が保障されるのが望ましいと思います。労働者が急減することによって、企業では雇用形態の多様化が進んでいるようですが、学校現場での就学の多様化への道はまだまだ遠いようです。

不登校新聞編集長の石井志昂さんは、学校へ行けない人はなぜ増えた?という記事の中で、不登校の原因は多岐にわたりますが、①友人との関係(いじめ)②細かく厳しい「管理校則」③発達障害など「特性」をあげており、学校からの「魅力的な非常口」の必要性を説いていらっしゃいます。

友人との関係

文科省調査によると、小学校4年生~中学校3年生までの6年間で、仲間外れ・無視・陰口などの「いじめを受けた生徒」は89%。逆に「いじめをした生徒」は79%いました。一方、全児童生徒がひとりもいじめを受けなかった、つまり「いじめゼロ」と報告した学校は平成17年度に82%に達しています。

と石井さんは説明していますが、学校はとにかくトラブルがなかったごとく対応します。保護者が校長にうったえて、ほんとうに認めざるをえない状況になって、初めて重い腰を上げます。それでも、そこにある指導は「みんななかよく」「ともだちだから」みたいな微温的な指導です。これは学校の根本的な問題です。そこには「トラブルが何もない状態がよい」という空気があります。実に日本的ですが、企業とちがい外部から遮断されている学校はとくに純化してあらわれます。そうあれば、子どもの個性や人間関係等などほとんど興味はありません。

細かく厳しい「管理校則」

校則や校内の決まりが細かく管理的になってきたことは、まだ注目されていません。しかし、子どもたちを取り巻く状況として確実に変わってきた点であり、不登校の背景として見逃すことのできない要因の一つだと考えています。

これは私も教員をやっていていちばん疑問に思った点です。教員たちは、「自ら考える子ども、アクティブラーニング」と口では言いますが、年々息苦しい場所になっていった印象があります。教員は、「学級崩壊」というレッテルをはられることをいちばん恐れています。そして、それは同じ教員からのまなざしをいちばん意識しています。また、教員による統制を望む保護者も、まだ多いという現状もあります。「髪染め強要で不登校」高3、大阪府を提訴という事件は、学校の「蟻の一穴」的な危機意識がもろにあらわれています。なにかやらないで学級崩壊したらどうしよう、仲間内から学級崩壊と指摘されたらどうしようという意識は、教員に特有の恐怖心かもしれません。もちろん、保護者から「他のクラスはできているのになぜうちのクラスは落ちつていないのか、うちのクラスはハズれだ」と言われる恐怖心も多々あります。

発達障害など「特性」

発達障害やHSCが「子どもを選り分けるラベリングになる」という指摘もありますが、一方で、特性のある子どもが周囲から理解されずに苦しんできた歴史もあります。そのことが少しずつ理解され、「本人にとって適切な環境が必要」だという指摘は、この20年間で広がってきました。

とのべています。私の感覚だと、教員の間で発達障害はまだまだ「問題児」という認識が根強くあります。ADHDの傾向があり、どうしても立ち歩いてしまう子供がいるとして、その子供があまりに問題行動を起こす場合は大目に見られますが、怒鳴って着席するようならそうすべしという空気がまだまだ学校にはあります。発達障害をもつ子供の親御さんも、他の子供と同じように大人しくしている状態が望ましいと思ってしまっている場合も多いです。私は、こういやって無理に着席させられてた子供は、今後どうやってソーシャルスキルを身につけていくのだろうかと心配になりました。

教員も被害者になりうる

児童館で小2男児が女性職員の首をバットで殴り後遺症という事件があったように、一方では対教師暴力も取り締まれない無法地帯となっています。文部科学省による平成28年度の問題行動・不登校調査によると、全国の小学校で児童の暴力行為は約2万3千件発生。うち「対教師暴力」は3628件にのぼりますが、警察や児童相談所などが何らかの措置をした児童は219人と、暴力行為全体の約1%にとどまっています。

学校がかわる前に、社会がかわっていく

日経新聞は2年以内に転職したい」若手社員の4割にという記事の中で、学校の不登校問題に先んじて、若手社員は流動化しているようです。学校は社会の鑑ともいえます。社会が流動化し親世代の考え方も変化すれば、学校も流動化していくでしょう。現状では、教員が「学校に来なくてもいいんだよ」と言うと責任放棄のようにとらえられてしまいますが、そう言えるような行政の支援が生まれて、社会の認識が代わってほしいものです。また、いじめも校内暴力も、うやむやにするのではなく法律で解決する風潮になっていくのでしょう。そうなったとき、「古きよき日本社会」を懐かしむ老人にはなりたくないものですね。

中沢 良平(元小学校教諭)

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