小細工にうんざりする国会論戦

2018年05月30日 06:00

参議院インターネット中継より:編集部

答弁の修正をつかない野党

森友、加計学園問題などを巡る国会論戦をみていると、安倍首相が微妙に答弁をしばしば修正しているのに、野党はなぜもっと鋭く追及しないのか不思議でなりません。

28日の集中審議で首相の発言にドキリとする部分がありました。森友学園への国有地売却について、「政治の世界において問題になってきた贈収賄では全くない。そういう文脈で、私は、一切関わっていないと、申し上げている」と、答弁しました。

「お金のやり取りがあって、頼まれて行政に働きかけたという意味での関わりはない」と、首相発言を表現している記事もありました。要するに、「関与」の定義を金品の授受に限定した格好だと、朝日新聞は指摘しました。

国有地の売買をめぐり、「お金」の授受があれば、贈収賄か、あっせん利得罪に相当するはずです。事実であれば、逮捕、起訴となり、どう弁明しようと、議員辞職でしょう。そんな重大な自ら言うはずはありません。言うはずもないことを、首相は新しい定義に変えるようなことをすべきではありません。

「関与」は口利きのことだったはず

われわれが首相から聞かされていたのは、「首相自身や夫人による関与があれば、首相も国会議員も辞める」ということでした。「国有地払い下げに対する口利きとか便宜を図ったこともない」の意味だと、理解してきました。首相夫妻が金品を受け取っていたとは想像する人はまずいません。

それが突然、「金銭の授受はない」と、「関与」の定義を変えたのです。「金銭の授受」があったと、国民はそこまで疑っていないのに、なぜ「関与」の定義を変えたのか。真意を図りかねます。

私はギョッとして、口利きや便宜供与はあったことを、認めたかったのかなと、思ったほどです。定義の不思議な変更です。野党はなぜ、もっこの点を追及しなかったのか。

簡単に間違える情報ではない

もう一つは、加計学園が「2015年2月25日に首相と加計理事長が面談し、獣医学部開設の説明をし、首相がいいねといったと、愛媛県と今治市に伝えたのは誤った情報だった」と、実に妙なコメントを報道各社にファックスで送ったことです。

「いいね」の情報を県と市に送った際、加計理事長の了解があったと考えるのは当然です。「誤った情報を与えてしまった」と、否定のファックスを送る際も、理事長の承諾なしでやったとは思えません。それに「間違いだった」とのコメントを発表するなら、獣医学部新設が認可される前でないと意味がありません。なぜ今頃になってか、ですね。とにかく疑いを深めるコメントでした。

野党はファックスの発信者が誰だったのか、つかむ努力をしてから、国会論戦に臨んだのでしょうか。発信者の名前を「加計理事長」とするわけにはいきません。理事長は当事者で、間違えるはずがないでしょうから「理事長名」は使えないのです。

とにかく小細工が小細工を生み、整合性がとれなくなる。ひょっとして、どうでもいい情報を流して、国会を騒がせ、「もういい加減にしてほしい」と、国民を辟易させる高等戦術かもしれません。

朝日新聞の社説(29日)は「繰り返されたのは、新たな事実を突きつけられても、問題はないと開き直る首相の対応だった」と、批判しました。読売新聞は「事態をこじらせた学園の責任は重い。首相もこれまで、一点の曇りもないと主張してきた。もっと丁寧に説明すべきだった」と。首相が友人に便宜を図ったところで、国会が長期間、マヒするような深刻な事態にはならなかったはずです。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2018年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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